【インド】スズキ、西部のバイオガス企業に出資
スズキは25日、インドの政府系機関である全国酪農開発委員会(NDDB)の子会社、NDDBムリダに出資することで合意したと発表した。NDDBムリダは、牛ふんを原料とするバイオガス工場の設置・運営管理を手がけている。スズキはカーボンニュートラル(炭素中立)の実現に向けて、自動車燃料として使えるバイオガスの生産事業に本腰を入れる。 NDDBムリダは2022年にNDDBの完全子会社として設立された。今回の出資は、スズキの完全子会社スズキR&Dセンター・インディア(SRDI)を通じて実施する。出資比率はスズキ側が26%、NDDBが74%となる。出資額は非公表。 NDDBが本拠を置く西部グジャラート州は酪農が盛んなことで知られる。全国の生乳供給の約47%は同州の乳業組合が担う。出資を通じて、牛ふんの効率的な回収と資源化の仕組みを構築し、バイオガスの生産につなげる。 NDDB本部で同日に行われた式典には、スズキの鈴木俊宏社長や鮎川堅一副社長、マルチ・スズキの竹内寿志社長らが出席した。鈴木氏は「乳業組合の家族の一員として、バイオガス事業を育てていきたい」と語った。 ■来夏に2つのバイオガス工場稼働予定 牛ふんは発酵すると、二酸化炭素(CO2)の28倍の温室効果があるメタンが含まれる。このメタンを回収し精製すれば、バイオガスとして圧縮天然ガス(CNG)車の燃料として利用できる。CO2の排出を抑制でき、炭素中立の一助になるとの考えだ。 スズキは22年にNDDBと、バイオガス精製の実証事業に取り組むことで覚書を交わした。23年には、地場乳業大手バナス・デアリーを加えた3者でバイオガス工場を設置する契約を締結。25年以降、グジャラート州バナスカンタで4つのバイオガス工場を順次稼働すると発表した。 現在、NDDBムリダを中核に、▽バナス・デアリー▽アムル・デアリー▽ドゥドゥサガル・デアリー▽サバル・デアリー▽パンチャマハル・デアリー――の5乳業組合が参加している。バイオガス工場はさらに1つ増やし、計5つを設置する計画。うち4つが建設中で、来年夏に2つの稼働を目指す。バイオガス工場にはバイオガスの充填スタンドを併設し、生産から供給までの体制を整備する。