7&iHD、あす決算発表-苦戦コンビニと企業価値向上策が焦点に
(ブルームバーグ): セブン&アイ・ホールディングスは10日、6-8月(第2四半期)決算を発表する。カナダのアリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたことが判明して以降、井阪隆一社長が会見するのは初めて。買収提案への受け止めや企業価値向上施策、不調が続くコンビニエンスストア事業の業績についてどう語るのか、注目が集まる。
クシュタールからの当初の買収提案は1株あたり14.86ドル(約2200円)だったが、7&iHDは買収提案額について、今後の事業戦略で企業価値が高まる可能性を適切に評価していないと反論していた。決算説明会は、クシュタールの提案に好意的な市場に対して、7&iHDが自社主導で企業価値を高められるとアピールする格好の機会となる。
7&i、イトーヨーカ堂など複数社の一部株式売却を検討-関係者 (1)
好業績であれば同社の戦略の説得力が増すことになるが、足元では物価高騰などの逆風もあり苦戦が続く。アナリストの7&iHDに対する視線も厳しい。
UBS証券の風早隆弘シニアアナリストは、営業利益の計画未達幅が第1四半期よりさらに広がるとの見方を示し、「通期の業績予想を見直す可能性もある」と述べた。日米ともにコンビニ事業の不調が続くとの認識で、井阪社長が具体的な改善策を打ち出せるかが重要なポイントだとしている。
クシュタールからの買収提案に関しては、「自分たちで企業価値が上げられず、クシュタールからのオファーのプライスが高ければ、受けるべきではないかという声が上がるリスクがある」として、追加的な措置が必要と指摘した。
今期(2025年2月期)通期の営業利益について、ブルームバーグが集計したアナリスト15人の予想の平均は5259億円と、会社計画(5450億円)を下回る。7&iHDが20年2月期以降、中間決算で通期営業利益計画を修正したのは、21年2月期と23年2月期の2度あった。
海外コンビニ事業は第1四半期に、北米で低所得者層の消費が鈍る中、コスト高を転嫁せず商品価格を据え置くことで客足を伸ばそうとしたが、想定した結果が得られなかった。利益のけん引役である国内コンビニ事業も、6月以降既存店売上高が3カ月連続で前年同月を下回っており、他2社と比べると見劣りする状況だ。不調のコンビニ事業に回復の兆しが見えるかが、今後の焦点になりそうだ。
(c)2024 Bloomberg L.P.
Koh Yoshida