大学生が地元唯一の「芸妓」に 中学時代に芽生えた夢 芸を磨き、文化を学び、学業と並行して活動開始
諏訪市出身の大学生、前橋亜季さん(20)=東京都=が今月、芸妓(げいぎ)「美代遥(みよはる)」として諏訪地域を拠点に活動を始めた。組合員が不在だった諏訪大手見番(けんばん)協同組合に登録。組合には温泉街に活気があった昭和30~40年代には200~300人の芸妓がいたが、高齢化などで3~4年前から活動が途絶えた。前橋さんは「(芸妓文化が)いつか諏訪の観光資源の一つなるよう頑張りたい」と張り切る。
前橋さんは組合の唯一の登録者になる。諏訪地域のホテルや料亭などの宴会に呼んでもらい、舞踊を披露する。現在は中央大(東京)で哲学を学んでおり、芸妓の活動は学業と並行して行う。
中学時代に江戸時代が舞台のドラマ「大奥」を見たのをきっかけに華やかさや着物に引かれた前橋さん。母親から「舞妓(まいこ)さんなら毎日着物を着れるよ」と言われ、芸妓を目指すようになった。
中学2年生の頃から日本舞踊の稽古を始め、夏休みには京都で芸妓の手伝いも体験。東海大諏訪高校(茅野市)に進学し、チアリーディング部に所属。その傍ら月1回、東京から師匠を招いて長唄や三味線の稽古に励んだ。大学生なり、諏訪の芸妓文化について本などで学んだ。
昨年夏ごろ、諏訪商工会議所の仲介で組合の井上保子理事長(75)に出会った。前橋さんを知った井上さんは、芸妓を目指す人が若者がいることを知り「まさに青天のへきれきだった。芸妓になりたいという熱意と強い意志に圧倒された」と振り返る。
前橋さんは5日、諏訪市役所を井上さんと訪れて金子ゆかり市長にあいさつ。「地元だけではなく、外国人観光客にも愛される芸妓になりたい」とアピールした。金子市長は「中身を磨けば味のある芸妓さんになる。頑張ってください」とエールを送った。