「大谷の試合見てないです。興味ないので」常に自分と向き合う床田寛樹が、1年目のTJ手術からカープのエース格へと成長するまで
打者を幻惑する投球術
捉えられそうで捉えられない床田の本音。それは投球にも通じる。生命線となる真っすぐとツーシームを軸としながらも、今季は精度を上げたカットボールやパーム、カーブ、チェンジアップで惑わせる。技術を年々磨きながら、投球の質を上げてきた。 今季もセ・リーグがパ・リーグを相手に苦戦した交流戦では、従来の組み立てを変えて2勝を挙げた。7回4失点(自責3)で敗れた6月4日の日本ハム戦後に「変化球が多かった」と振り返りながらも、1週間後の西武戦でも配球の割合をあまり変えずに今季最長タイの8回を投げ、1失点で勝ちきった。 「やっぱりパ・リーグって真っすぐに強いイメージがあるので、僕の真っすぐではキツいだろうなって」 投球には明確な狙いがあった。さらに「でも、この3試合ですごくツーシームを意識しているなと思ったので、来年は変えていくのもアリなのかなと思いました」と続け、不敵に笑った。 21日から再びセ・リーグの戦いに戻るが、床田はここまでリーグ首位を走る広島を名実ともに牽引してきた。登板11試合すべてクオリティースタートを記録し、防御率は1.49と抜群の安定感を誇る(6月16日時点)。 何より、今季ここまでの登板がすべて「火曜日」であることが首脳陣の信頼を表している。開幕投手にエースを指名することが常識のようになっているが、3連戦、6連戦の初戦にあたる1週間の始まりの火曜日にも信頼の高い投手が起用される。その投手が長い回を投げれば、翌日以降の連戦で中継ぎの消耗を最小限にとどめられる利点も生まれる。 セ・リーグ6球団で交流戦まで“火曜日の先発”を固定したのは、広島のほか阪神、巨人とリーグ上位3球団だ。阪神は昨季リーグMVPの村上頌樹。巨人は昨季2桁勝利を挙げ、WHIPでは開幕投手の戸郷翔征を上回る0.97をマークした山崎伊織が務める。 広島と阪神はゴールデンウイーク中に予定していた月曜の試合が2試合中止となったことで、火曜日はすべて1週間の初戦となった。ローテーションが安定しているという点に加え、週頭に安定した投手を立てて戦えることがチームを軌道に乗せているとも言える。床田は阪神の村上とすでに4度対戦し、2勝2敗と渡り合った。チームトップの投球回78回2/3は、首脳陣の信頼に応えている証でもある。
【関連記事】
- 【カープ上昇の理由】「やりたい野球とやれる野球は違う」投高打低のセ・リーグで粘り強く上位を窺うカープ新井監督が選択した最善策
- 【データが示す真実】プロ野球“じつは危機的状況”とにかく打てない問題「退屈な試合でファン離れも」「引退する選手が出る可能性」専門家も衝撃…最悪のシナリオとは
- 【貴重写真】白スーツの衣笠、打席でエグい殺気の前田やノムケン、胴上げされる山本浩二、痛そうな正田、炎のストッパー津田恒美などカープ名選手のレア写真を一気に見る
- 【床田も気になる!?】大谷翔平が“今の成績ペース”で狙えるのは三冠王でも連続本塁打王でもなく…ベッツやトラウトが達成済の大記録、さらに「過去5人だけの偉業」
- 【日本人投手旋風】「イマナガは100点…素晴らしい」米記者が今永昇太を“最高点”絶賛…では山本由伸と松井裕樹は? ズバリ語る“日本人選手の本音評”