岸田首相の発言には椅子から転げ落ちるほど驚いた…青山繁晴・参院議員が語る「裏金」と「特権意識」の問題点
岸田首相だけには最善の結末
選挙資金規正法の改正は、世襲と利益誘導に熱心な岸田首相が陣頭指揮を取ったようだ。読売新聞は6月1日の朝刊に「世論を意識 首相決断 規正法改正案合意 『丸のみ』自民内しこりも」の記事を掲載した。 《政治資金規正法改正を巡り、岸田首相(自民党総裁)は自民内に慎重論が強い公明党や日本維新の会の要望を受け入れ、今国会での改正実現になんとか道筋をつけた。世論の逆風の中で他党の主張を軽視すれば政権がもたないと判断したためだ》 記事によると、5月30日の夕方、岸田首相は「自公連立の基盤を崩すわけにはいかないだろ」と述べ、政治資金パーティー券購入者の公開基準額を「5万円超」に引き下げるよう求めていた公明党の要求を《丸のみ》したという。 「法改正を巡る党内議論において、ぼくと同志議員らは裏金事件の本質を突くことを試みました。しかし『政治刷新本部』の本部長である岸田総理はそれを避け、自由民主党(註:青山氏は結党の精神に戻れと主張し、「自民党」とは言わない)が国会に出した規正法改正案は問題の表面を撫でているだけで、その表面すら改革しない。公明党や維新との修正協議も党利党略でした。それでも岸田総理にとっては最善の結果でしょう。衆議院を解散して公明党を困らせない代わりに、総辞職も会期延長もなし。次の総選挙で敗北して議席が減っても、公明との連立は国交大臣ポストを公明に贈り続ければ、維持される。維新に関西万博担当大臣を贈って自公維の連立とすることも模索しているようです」 要するに岸田首相は“政治とカネ”の問題に終止符を打とうとして改正案をまとめたわけではない。次の自民党総裁選で「俺を総裁に再任しろ」というメッセージを送ることが目的だったのだ。
私的な集団のカネ集め
「裏金事件が明らかにした問題の本質は派閥です。派閥を『その他の政治団体』として総務大臣に届ければ、政治資金規正法によって派閥が政治資金を集めることが可能となり、各派閥がそうしてきました。しかしながら、派閥はあくまで『閥』、学閥や門閥、閨閥と同じように、ただの私的な集団です。私的な集団がカネを集め、それを子分に配分している。旧態依然の政治そのものです。本当に規正法を改正するなら、派閥の完全解体が必須ですし、どうしても国会議員には政治資金が必要だと言うのなら完全に新しいシステムに変えるしかありません。ところが現実には、岸田総理の重荷だった安倍派が徹底的に解体され、物申す二階派も消え、残ったのは岸田政権を支える麻生派だけ。進行したのは政治改革ではなく岸田総理主導の政局でした」 第2回【NHK中継がある自民党の予算委員会は本当に酷かった…青山繁晴・参院議員がみた「派閥支配の実態」】では、青山氏が間近に見た派閥支配の実態、派閥を解体しなければ政治改革は実現しない理由、そして自民党総裁選の出馬を明言していること、などを取り上げる。 註:首相の「説明責任」、形だけ 「報告書に」連発、踏み込まず 政倫審(朝日新聞朝刊:3月1日) デイリー新潮編集部
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