帰国した「たむらけんじ」が初めて明かす「焼肉たむら」の苦境 「社員の離脱」と「買収」について
■支えてくれた社員が辞めていく 飲食は厳しいし、焼肉という業態も難しいし、ウチの店の状況的にも決してイージーな内容ではない。ただ「たむらさんところは他の飲食店とは違うポイントがある。それがたむらけんじさんという芸人さんの付加価値」と話をしてくださる方もいらっしゃって、こんな感じの店にしてはいろいろなお話をいただきました。 何より僕が考えるのはウチの従業員のことです。今の状況で引き続き仕事ができて、それぞれの家族が守れる。これをキープしてくれるところがあれば、他の条件は本当に何でもいい。そう思ってやってきましたし、まとまる直前だったところもあったんですけど、今のところ合意に至っていない。 となると、あとは自力で立て直すしかない。真正面からの方法で頑張るしかないのに、自分がアメリカからアレコレ言っている場合ではない。「焼肉たむら」を立て直すため。それが全てなんですけど、もう一つ奥にある正味の話をすると、それだったんです。自分の手から離れてはしまうけど、バイアウトが成立して「焼肉たむら」という船が沈まずに進んでいける算段がついたら、戻ってきてないと思います。正直な話。 ……あとね、さらに、さらにリアルなことで言うと、ずっと支えてくれていた社員がポツリ、ポツリと辞めていく。これもこたえました。それぞれみんなやりたいことがあるから次に向かった。喜ぶべきことでもあるんですけど、ウチが本当に魅力的だったらそうはならなかった。それも事実だろうなと。 今は大阪に住んでいて、朝起きて英語の勉強をしてから、関西のどこかの店舗に出勤する。尼崎、箕面、和泉府中のどこかの店舗にいて、ランチ、ディナーと一日中働く。それがルーティンになっています。洗い物も、盛り付けも、ホールも、やっています。 ありがたいことに、いろいろな芸人も支援してくれて、店の皿をデザインしてくれた後輩もいますし、「サバンナ」の高橋も「YouTubeチャンネルでお店に行かせてもらいます」と言ってくれてますし、もりやすバンバンビガロもいろいろと尽力してくれています。本当にありがたいことだと思っています。 ただ、あくまでも芸人の仕事に戻るために帰国したのではないし、なんとか「焼肉たむら」再生の目途が立ったらアメリカに戻る。一日も早く戻る。そう思っていますし、少しでも早くその日を迎えたいというのが今のモチベーションです。 アメリカでやりたい夢があるから、本当にわがままを言って日本を離れました。大好きで、大好きで仕方なかった芸人の世界を出てまで新たな勝負を始めました。そして、自分で作った店だから、人に渡したくはない。全部本当の思いです。でも、今考えないといけない一番のことは「焼肉たむら」を立て直して従業員の人生を守る。これです。これしかありません。だから全力でやる。それが今なんです。