SNS上はアンチだらけ!なのに選挙で圧勝する「2人の政治家」
● 東京都知事選においても 大阪同様の結果が観測された 反吉村候補的な投稿約12万件の拡散の様子について、もう少し詳しく見てみましょう。 この拡散のもととなったオリジナルポスト6313件は、2615のアカウントによってなされました。 図表3-5をご覧ください。この図表から分かることは、少数のアカウントによるポストが世論形成の大部分を担っているということです。実際、約12万件の拡散のうち、約70%の拡散が、わずか40のアカウント(約1.5%)によるオリジナルポストによって担われています(編集部注/y軸が拡散数、x軸に拡散数が多いアカウントを上位から順に並べている。一番左端のアカウントはポスト拡散数1位のアカウント、その右隣りは、拡散数2位のアカウントとなる。ほとんどのアカウントがx軸に平行な直線のように見えるのは、多くのアカウントが拡散数1、つまり一度もリポストされておらず自身の1回のポストのみということを表している)。 なお、拡散数1位から3位のアカウントはいずれも一般市民のアカウントでした。拡散数はそれぞれ1万2407、5777、4303でした。
知事選挙を素材としてソーシャルメディアの研究を行ったのは私が初めてではありません。むしろ、私が選挙とXというテーマに興味を持ったきっかけは、東京大学教授の鳥海不二夫氏のYahoo!ニュース個人記事「2020都知事選で小池都知事への応援メッセージがツイッター上にほとんどなかった件」を読んだことでした。 この記事で鳥海氏は、リポストネットワークを作成することによりXユーザの分析を行っています。 具体的には、都知事選挙期間中に「都知事」に言及した投稿を集め、リポストしたユーザが20%以上被っている2つの投稿をリンクでつないでネットワークを作成し、そこから類似情報群を抽出しました。その結果、2つのクラスタが発見されました。 1つは、アンチ小池百合子クラスタで、もう1つは保守系(桜井誠を支持する)のクラスタでした。そこで鳥海氏は次のような疑問にぶつかります。 あれ?そうすると小池都知事の支持層はどこにいるんだ? ご存じのとおり、2020年東京都知事選挙は小池百合子氏の勝利でした。ところが、鳥海氏の分析においては、小池百合子氏に投票をしたはずの層による投稿がほとんど見当たらなかったのです。鳥海氏は記事の中で次のように言っています。 誰だ?ツイッターから社会が見えるなんて言ったのは!?
谷原つかさ