SNS上はアンチだらけ!なのに選挙で圧勝する「2人の政治家」
吉村候補に関する投稿は、ディープラーニングを使って分類しました。たつみ候補に関する投稿は、オリジナルポストの数がそれほど多くなかったので、人間の目で見て分類を行いました(この作業を根性マイニングといいます)。 ● ネガティブな投稿が62%もあるのに 実際の選挙では圧勝した吉村洋文 吉村候補に関しては、ネガティブが62.1%、ニュートラルまたは態度不明が26.1%、ポジティブが11.8%でした。予想どおり、ネガティブの言説が多く半数以上を占めています。たつみ候補に関しては、ネガティブが1.2%、ニュートラルまたは態度不明が11.1%、ポジティブが87.7%で、圧倒的にポジティブが多いという結果となりました。 従って、X上においては、あらゆる候補者に対してネガティブな投稿が多いというわけではないようです。なお、「吉村」「たつみ」という語を含んでいても、それぞれ今回の候補者以外の人を指していると判断された場合はその投稿を除外しています。 選挙の結果は、吉村候補の得票率73.7%に対し、たつみ候補の得票率は8.0%であり、吉村候補の圧勝でした。やはり今回の選挙でも、X上の世論と選挙結果の乖離が観察されました。 ● 政治的に強い主張を持っている人が Xの投稿を「頑張り」がちな傾向 ここで、アンケート調査により集計した吉村候補の支持度合いを見てみましょう。
筆者は大阪府知事選挙直後に大阪府民3000人に対してアンケート調査を行いました。図表3-3は「あなたは、今回の大阪府知事選挙候補者において、吉村候補をどの程度支持していましたか」という質問に対する大阪府民3000人の回答分布です。 政治系のアンケートでは珍しい分布結果となっています。通常、政治家の支持度合いや政策の賛否を問うと、中間的な回答を頂点とした山形の分布になるのですが、吉村候補に関してはそうなっていません。この結果を解釈すると、「全体的に支持者が多い一方で、支持していない人は全く支持していない」という感じでしょうか。 「全く支持していない」という強い意見を持っている人々が少なくない割合で存在しているのは、自民党への感情と同じです。この人々が、X上では情報拡散を頑張ったのかもしれません。 図表3-4は、吉村候補への支持度合いと投稿行動の関係を示したグラフです。やはり、緩やかに谷形になっています。つまり強い態度を持っている人の方がXの投稿をする傾向にあります。自民党の時と比べると、「全く支持していなかった」グループの投稿割合が突出して高く誤差も小さいのが特徴です。