若者が熱狂したスターレット まもなく復活か
世界的なハッチバック人気
日本では1972年にデビューした初代ホンダシビックがFF(前輪駆動)ハッチバックとして大ヒット。一方欧州では1974年登場のVWゴルフIの大成功によりFFハッチバックブーム到来となった。ファミリー層だけでなく、若者の個人車としても一大勢力となり大増殖。 日本では、1977年に初代ダイハツシャレード、4代目マツダファミリア、1978年にはスポーツイメージをアピールすることに成功した初代の後を受けて登場した2代目スターレット(以下KP61)もトレンドにのっとり3ドア/5ドアハッチバックで登場した。そして2代目スターレットの直後、約1か月後に初代三菱ミラージュがデビューし、役者が揃ったというわけだ。
KP61スターレットは時代に逆行してFRで登場
世界的にはBMC MINI、日本では初代シビックが先鞭をつけたFFハッチバックは、2代目スターレットがデビューする頃にはFFが当たり前となっていた。FF化が進んだ背景には、FFにはFRに必須のプロペラシャフト(後輪に動力を伝えるパーツ)が不要なため(1)部品点数が少なくコストダウンできる、(2)室内への出っ張りがないため室内スペースを広くとることができる、(3)簡素なリアサスでも性能を発揮できる、(4)軽量化できるなどのメリットの塊だったことが影響している。 しかし、KP61スターレットは時代の流れに逆らい、エンジンを縦置きのFRで登場。お金のかかるプラットフォームを新開発したのにトレンドのFFではなく絶滅危惧種だったFRを採用したのはトヨタの英断だろう。4代目マツダファミリアも2代目スターレット同様にFRレイアウトを採用していた。これが後に付加価値となり花開く。
駆動方式に関係なくハッチバックが大人気
ハッチバックにおいて、シビック、シャレード、ミラージュのFFとスターレット、ファミリアのFRの対決の構図となった。FR派は、「FFはステアリングへの干渉が大きくて不快。何よりもタックインが嫌」(※註:タックインとは、FF車でアクセルオフするとオーバーステア傾向になること)、対するFF派は「FRは走りが古臭い」と応戦するなどあったが、結果的には駆動方式に関係なくどのモデルも一定の成功を収めたのは特筆だ。デザインも含めて個性派が揃っていたのもハッチバック人気を後押ししたのだろう。