来年早々導入「仮装身分捜査」の実効性は? 闇バイトに “雇われたふり作戦”捜査員の安全担保など課題も…
導入を加速させた石破政権の狙い
そうしたなか、石破茂首相は17日に首相官邸で行われた犯罪対策閣僚会議で「仮装身分捜査も活用した徹底的な取り締まりをする」と言明。その強硬姿勢の裏には「政治的要素が多分に絡んでいるのではないか」と前出の記者はいぶかしむ。 「仮装身分捜査導入の議論はこれまで遅々として進みませんでした。それが一気に加速したのは石破政権発足後の11月ごろから。先の衆院総選挙では与党は過半数割れし、支持率も低迷。国民の体感治安に不安を及ぼす闇バイトによる犯罪に、国を挙げて取り組む姿勢を示すことで支持率浮揚を狙っているのではないか?との気もします」(政治部記者) 警察庁の露木康浩長官は12日の定例会見で、仮装身分捜査について『雇われたふり作戦』と命名した。募集側からすれば、応募者が仮想身分かどうかの区別はつかないため、一定の抑止効果としては期待できるかもしれない。 だが、捜査員の身の安全の担保のほか、運用時の適用範囲の拡大解釈の危険性などを含めた課題点は残されている。政権の力強い姿勢も追い風となり、導入が確実となった仮装身分捜査。結果が振るわず、闇バイトを撲滅する “ふり”で終わるようなら、政府への信頼も失墜しかねない…。
弁護士JP編集部