「独自路線」ゆえの魅力 マツダCX-5へ試乗 推しは2.2Lディーゼル 驚くほどの回頭性
操縦性に重点 回頭性は驚くほど精彩
2.5Lの4気筒ガソリンがトップユニットになるが、ノイズがやや目立つ。6速ATのギア比がもう少し長ければ、巡航時の洗練度を高められるように思う。CVTを積むライバルより、加速時の車内はずっと穏やかだけれど。 2.0Lと2.2Lの英国仕様には、6速マニュアルが用意されている。クラッチペダルは重めながら、シフトレバーはショートストローク。時代遅れの選択かもしれないが、英国編集部では推さずにはいられない。 ステアリングホイールやペダルといった操縦系の重み付けには統一感があり、反応は正確。マツダは「人馬一体」を掲げているが、操縦性に重点が置かれていることは間違いないだろう。 全高があり車重も小さくない中型SUVでありながら、CX-5の回頭性は驚くほど精彩。シャープとまではいえないものの、ステアリングの反応速度や精度で、多くのライバルより優れている。 乗り心地は、このクラスでは硬め。速度域の低い市街地や大きめの隆起部分を通過すると、もう少ししなやかでも良いかな、と感じるドライバーはいるだろう。それでも、高速走行時の減衰特性は良好で、細かな入力もしっかり吸収してくれる。 可変式ではないダンパーで、巧みなコーナリングと悪くない乗り心地を両立できている。絶妙な落とし所といえるが、アダプティブダンパーが支えるティグアンの方が、全体的な快適性で優れることも否定はできない。
燃費も悪くない 周囲とは少し違う魅力
高速コーナーへ突っ込んでみると、サスペンションがボディロールを抑え込む。しかし限界領域へ近い速度域では、高めの重心位置と小さくない質量にこらえきれず、大きく傾いてしまう。 その間、タイヤの負荷も高まるが、スタビリティ・コントロールはボディの大きな動きへ対応しきれない印象。トラクション・コントロールは、完全なオフにはならない。大きな荷重移動で旋回性が急激に高まる場面があるため、妥当な設定といえる。 同じ条件下での安定性では、ティグアンの方が上手だ。CX-5の方が、サイズは僅かに大きいが。 燃費は、2.2Lディーゼルで、今回の試乗の平均値が19.1km/L。かなり優秀な数字といっていい。2.0Lガソリンは、高速道路を巡航すれば15.9km/L程度を得られる。平均でも13.5km/L前後で、車格を考えれば悪くない。アドブルーを補充する手間もない。 登場から7年が過ぎた、2代目CX-5。この間にライバルは次期モデルへ交代するなど、取り巻く環境は厳しいといえる。だが、周囲とは少し違うチョイスを好むなら、まだまだ魅力的なファミリーSUVだといっていい。 確かに、クラス最高の完成度とはいえない。それでも、特にターボディーゼルはエネルギッシュだし、正確な操縦性は好ましい。 ◯:高級感があり、ゆとりある車内空間 軽快で積極的な動的特性 ガソリンの前輪駆動も、ディーゼルの四輪駆動も選べる △:走行時のCO2排出量は小さくない 稀に良くない乗り心地 ライバルたちの方が新しい
マレー・スカリオン(執筆) 中嶋健治(翻訳)