考察『錦糸町パラダイス』8話。293歳の男が登場!?なぜか心地よい急なSF展開
出ていかない人、戻って来る人
8話後半で挟み込まれた、居酒屋「地元」女将(MEGUMI)の自分語り。一見唐突な展開のようにも思えたけれど、ここでは彼女が一度は錦糸町を離れ、戻ってきたことが明かされる。思えばまっさんも、ひとつところにいると怪しまれるという理由で四半世紀ごとに日本全国を転々としながらも、「だからやっぱ最後はここかなあと思って」生まれ育った錦糸町に戻ってきた人だ。 大助(賀来賢人)たちは錦糸町から出ていかない人たちだ。それゆえの苦しさを、多少なりとも感じているように見える。けれど、一度出ていった人たちにとっては、この街は戻ってきたくなる場所らしい。 「仕事はね、結局楽しくなきゃダメよ」「あんたはね、もっと自分のこと考えたほうがいいわよ。自分の人生なんだから」 女将にそう言われた大助は、おそらくは久しぶりに街角で少年とバスケを楽しむ。その姿を見かける裕ちゃん(柄本時生)。長らくいちばん大事なことは言葉にしないまま続いていた二人の関係が、少し変わっていくのかもしれない。
蒼を心配するまっさんの眼差し
まっさんは蒼(岡田将生)を心配しているようだ。蒼にあらためてどんな仕事をしているかを聞き、錦糸町に貼られたQRコードのことにも言及している。次週予告を観ていると、いよいよ9話では蒼とQRコードとの関係が明らかにされそうだ。 今夜もたっぷりまっさんの話が展開するのだろうか。錦糸町はいったいどうなってしまうのだろう。8話のような展開があった以上、可能性は無限だ。 ●番組情報 ドラマ24『錦糸町パラダイス~渋谷から一本』(テレ東) 企画・原案_柄本時生、今井隆文、太田勇 脚本_今井隆文、太田勇、石黒麻衣 監督_廣木隆一、太田勇、木ノ本浩平 出演_賀来賢人、柄本時生、落合モトキ、岡田将生 他 主題歌_MOROHA 『燦美歌』 Lemino、U-NEXTにて全話配信中(有料) ●釣木文恵/つるき・ふみえ ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。 ●オカヤイヅミ 漫画家・イラストレーター。著書に『いいとしを』『白木蓮はきれいに散らない 』など。この2作品で第26回手塚治虫文化賞を受賞。趣味は自炊。 Edit_Yukiko Arai
GINZA