遠距離介護で困ることって? じつはあまり知られていないメリットとは?
連載第2回までは、年末年始に帰省してみたら、「認知症かも?」 「そうだ、病院へ連れて行こう!」 と思っても、そんなに簡単ではないというお話と、何よりも認知症の可能性のあるご本人への配慮を忘れてはいけないというお話でした。 帰省先でも簡単にできる! 親が認知症かどうかがわかる5つのチェック 今回は「遠距離介護」というテーマです。先日、4年目に突入した遠距離介護ですが、介護サービスをうまく活用することで、月10万円を超えた交通費を4万円にまで減らすことができました。距離が遠くなることで困ること、実はあまり知られていない「メリット」についても、お話していきます。
遠距離介護で困ることベスト3
遠距離介護コミュニティーNPO法人パオッコ調べによると、介護者が遠距離介護で困ることベスト3は以下のとおりです。 1位:交通費 2位:心身疲労 3位:帰省できない 第1位の「交通費」ですが、我が家のピーク時は月10万円を超えました。お金の話は次回コラムに書きますが、交通費の負担増が家計を圧迫するというのは、遠距離介護ならではの悩みです。第2位の「心身疲労」ですが、離れているため「元気にしているかな」「ご飯はちゃんと食べているかな」と心配になります。また移動距離が長く、体力的にも疲れます。 第3位が一番の問題です。介護サービスを利用していて、帰省できないのであればまだ救いがあります。もし何も手を打たないでいた場合、第2回にも書いた通り、認知症であれば進行してしまうこともあります。 これら3つの悩みを解決する方法は、「人に頼ること」です。特に遠距離介護の場合、すべて自分で介護をしようとしてもムリです。ひとりで抱え込まず、人に頼ることが最善策です。 第2回コラムで要介護認定を受けて、介護度が決まるというお話をしました。そのあとでケアマネージャーと、どのような介護サービスを受けるかを話し合います。これが、人に頼る第一歩です。
遠距離介護で最も大切なこと「態勢を整える」
お買い物は何曜日の何時? 入浴介助は週2回など、介護を受ける人の生活が成り立つように介護サービスを検討します。場合によっては、施設への入所という選択肢も考えられます。 要介護1である独居の母は認知症に加え、手足が不自由です。なので、1人では決められた通りに服薬できませんし、ゴミ捨て場も遠いので自分では行けません。買い物も厳しいですし、手足もリハビリをしないと、この先もっと動かなくなります。 これらすべてを満たすために、訪問看護師、ヘルパー、作業療法士が毎週家に来て、生活をサポートしてくれます。これをケアプランといって、どのような介護サービスをいつ、どれくらい受けるかをケアマネージャーや地域包括支援センターが作成します。 民生委員や親族、ご近所など協力してくださる方がいればそれでもいいのですが、どうしても不定期になるので、サポート的な役割と考えるといいです。 ちなみに、我が家は遠距離でも在宅介護にこだわっています。それは、母が家に居たいと言っているからです。息子を理解できなくなったら、施設に行くと言っています。認知症でまだ本人の意志が確認できる状態にあるならば、ぜひ本人の希望を聞いてみてください。