大電流でアニサキス殺虫したサーモンのお味は? 熊本大が試食会
魚に寄生する線虫アニサキスを大電流で殺す装置の実用化を目指している熊本大産業ナノマテリアル研究所の浪平隆男准教授と王斗艶准教授の研究グループは28日、学内で技術の周知を目的としたサーモンの試食会を初めて開いた。 アニサキスは長さ2~3センチの糸状の線虫で、人間の胃や腸の壁を刺して食中毒を起こす。殺虫するには魚を凍らせる方法が現在の主流。課題となる解凍時の品質劣化を解消しようと、研究グループは2017年、企業などと協力して瞬間的に1億ワットの電力を生む「パルスパワー」を使った殺虫の研究に着手した。 100食分を用意した試食会には学生や教職員らが参加し、処理済みと未処理のサーモンを食べ比べた。教育学部3年の藤井晶さんは「見た目も味もほとんど変わらなかった。実用化されたらすごいと思う」と驚いていた。 アジやサバ、イワシでも殺虫に成功しており、今後は装置の製造を手がける企業との連携を探る。浪平准教授は「生魚が好きな人に喜んでもらいたい。数社から問い合わせも来ている」と話した。(上野史央里)