制服に7万2000円のところも…物価高の家庭にのしかかる公立校制服の「改善策」
地域の人たちを巻き込んで
池上さんは、それまで子育て中心の生活だった。 「馬場さんは話しやすくて、聞いたことに全部答えてくれる。嘘がない人だなって。子どもの学校の近くでお店を開くとか、まず自分の生活が大事とか、考え方に共感しました。自分は、稼げることも大事にしています。ボランティアではなく、暮らしていける仕事がしたかった。 もともと、企画するのが好きでした。子どもが小さい頃は、赤ちゃんとお母さんが通えるカフェを作りたいと思ったんです。その後は、夫や子どもがハマった『宝石探し』を地元でやりたいと、リサーチしました。その流れで、実現したのが制服なんですよ。仕事になって、地域のためになって、楽しい場所になるんじゃないかと。 馬場さんに話を聞いた後、私は実家が愛媛なので夏休みに帰るときに、高松のさくらやに家族5人で行きました。やりますって伝えたら、愛媛まで車で帰る間に旦那さんと相談しなさいって言われて。9月には、他店の方と都内で一緒に研修をスタート。接客からお手入れから経営から、シミュレーションを何回もやりました」 研修を受け、買い取った1000点を洗濯し、地域の社会福祉協議会で手伝ってくれる人を探した。仕事の創出や、地域でつながりを作ることも、さくらやの運営において大事だからだ。 「お店はまだスタートできないけれど、つながりは作れるから、名刺を作って外回りしました。洗濯を手伝ってくれる人は、外では働けない男性でしたが、プロのクリーニングとは違って、洗濯機でも洗える。社協さんを通して、お金をお支払いし本人に渡していました。その人は、朝起きたら洗濯するという、生活のルーティーンができるようになったそうです。 ほかに、制服や体操着についている名前の刺繍を取らなきゃいけないんですが、お子さんに障害があってあまり外には出られないお母さんや、障害者の施設の方にやってもらっています。賃金をお支払いして、地域のみんなを巻き込みながら、助け合う形にしています」