物議も…ダイアナ元妃&最後の恋人ドディの「銅像」を巡る秘話
イングランド中部ノーサンプトンシャーにあるダイアナ元妃の実家、オルソープ邸の敷地内に作られた墓所から、元妃の息子たち、ウィリアム皇太子とヘンリー王子が制作を依頼し、2021年にお披露目されたケンジントン宮殿の庭園にある銅像まで、「国民のプリンセス」の命を奪った悲劇的な事故から25年あまりの間に、その死を悼んで建てられた記念碑は、世界中に数多くある。 【写真】ダイアナ妃の自宅で撮られた秘蔵写真特集
だが、それらの記念碑のうち、最もよく知られているもののひとつは、「最も冷笑された像」だったといえるかもしれない。
それは、かつてロンドンの老舗高級百貨店、ハロッズの店内に設置されていた「Innocent Victims(罪なき犠牲者たち)」と名付けられた銅像。
ダイアナ元妃と一緒に事故死した当時の交際相手、ドディ・アルファイド氏の姿が描かれたもので、大きく翼を広げたアホウドリの下で、2人が踊る様子が表現されている。当時のハロッズのオーナーで、ドディ氏の父であるモハメド・アルファイド氏が制作を依頼したものだ。
この像を公開したとき、アルファイド氏は次のように述べていた。 「ダイアナ元妃とドディの早すぎる死から8年が経とうとするなか、この2人の犠牲者のための公式な記念碑は、(ロンドンの)ハイドパークに作られ、大きな批判を浴びている“下水道”以外、何もありません……私は、2人の魂を生かし続けたいと考えました」
アルファイド氏が“下水道”と呼んだのは、ハイドパーク内に2004年に完成し、公開時に行われた式典にはエリザベス女王も出席した「ダイアナ・メモリアル・ファウンテン」のこと。
ただ、銅像を公開したときのアルファイド氏のコメントのなかで最も注目を浴びたのは、次の発言だったといえる。 「私はこの銅像を『無実の犠牲者たち』と命名しました。この8年間、私は息子とダイアナ元妃が殺害されたことを証明するために、闘ってきたからです」
実際、アルファイド氏はパリで起きた事故の後、2人の命を奪ったのは単なる交通事故ではないと主張。イギリス王室の関与も疑っていた。自費で調査員を雇い、明らかになったという“事実”をもとに、フランス当局が示した捜査の結果に異論を唱え、裁判も起こしていた。 だが、それでも調査は最終的に、衝突事故は「偶発的に起きたもの」と結論付けられている。