高校時代も「遅咲きの豪腕」だった藤平尚真(楽天)がついに覚醒! 忘れられない「高2秋の大号泣」【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.17』】
悔しい関東大会敗戦も冷静に自分の課題を見据えていた
決勝戦の桐光学園戦では最速151キロをマークし、優勝に貢献。打線も強力で選抜も十分に狙える戦力でした。1回戦では常総学院と対戦。しかし5回表に逆転2ランを打たれ、1対3で初戦敗退。選抜は絶望となり、試合後の藤平投手は号泣。とても話を聞ける状態ではなく、後日、インタビューを申し込んで話を聞くことができました。 「ホームランを打たれたボールは痛恨の一球でした。一球の怖さを実感した試合でした。自分のせいでチームの選抜出場がなくなり、とても責任を感じています」と振り返ります。 また冷静に自分の課題を語ってくれました。 「投球時、左肩がやや下がって、平面的な投げ方になっていたんです。いつもより回転が使えず、スライダーがより手前で曲がっていて、見極められる。そのため、ストレート中心の組み立ててでいきました」 思い通りにいかない。修正をしながら自分の投球をしていましたが、本塁打を打たれ、負ける結果となりましたが、最終学年への決意を語ってくれました。 「今のままでは高いステージで抑えられないことを実感しました。ストレートは、分かっていても空振りが奪えるボールを追求しています。ストレートを磨くことに加えて、緩急を今より上手く使っていきたいんです」 スライダーの精度を高めることも課題でした。 「参考にしているのはダルビッシュ有さんで、ダルビッシュさんは3種類のスライダーを投げていて、一流投手は1つの球種でもいろいろな変化で投げているので、見習っていきたいです。ただ、スライダーを磨きつつ、本格派の投手はみんなフォークが良いので、フォークも磨いていきたいです」 最終学年の藤平投手は凄みが増していました。2年秋まで145キロ以上が1試合で数球ほどでしたが、3年生になってからは1イニングで何球も出すようになり、スライダー、フォークの精度もかなり増しており、世代屈指の右腕に相応しい成長を見せていました。 最後の夏は甲子園に出場。さらに高校日本代表にも選ばれ、こうした1年の活躍が認められ、楽天から1位指名を受けます。 1年目から一軍で8試合登板。2年目は14試合で81.1回を投げるなど、順調に経験を重ねますが、その後は思うような実績を残していません。昨年まで45試合でわずか10勝でした。