火山灰の量は? 気象庁が新しい降灰予報をスタート
■どう活用?
それでは、それぞれの情報を基に、どう行動すればよいのか具体的に見ていきましょう。 ◎降灰予報(定時)=噴火前 噴火した場合に備えて計画的に準備するための情報で、噴火後18時間先までに予想される降灰範囲や小さな噴石の落下範囲の情報を3時間区切りで発表する ・テレビの天気予報などでその日の降灰範囲を確認 ・降灰に備え、窓を閉め、外出時は傘やマスクを用意する
◎降灰予報(速報)=噴火直後 噴火直後、事前に準備した降灰対策に即座に取りかかれるようにするための情報で、「やや多量」以上の降灰が予想された場合に、噴火後1時間先までの情報を発表する ・ラジオや気象庁サイトなどで小さな噴石の落下範囲を知る ・速やかに頑丈な建物の中に退避
◎降灰予報(詳細)=噴火後 噴火後に詳細な観測結果に応じて適切な対応をとれるようにするための情報で、「やや多量」以上の降灰が予想された場合に発表。予想される降灰量の分布や降灰開始時刻について、噴火後6時間先まで1時間区切りで提供する ・気象庁サイトなどで6時間先までの降灰量を確認 ・「やや多量」以上の降灰が予想されるのでなるべく外出を控える。外出する時は傘やマスクを用いる
■新予報の背景
降灰予報は、噴煙の高さなどの噴火状況に、風でどれくらい火山灰が流されるか、雨でどれくらい落とされるか、などの気象状況を加味して降灰範囲などを算出しますが、今回のバージョンアップには技術的な背景があります。気象研究所で降灰の量的予測の研究が進み、気象庁の数値予報に使われるスーパーコンピュータが更新されたことで、より詳細な予測が可能になったのです。 また、気象庁では2012年から降灰予報の検討会で、どんな情報を出せば役立つか、などについて検討してきました。その結果、降灰予報を「定時」「速報」「詳細」の3種類に分けて発表することになりました。 気象庁火山課では、「3種類の情報を提供できるようになったので、それぞれのステージに応じて活用して欲しい。特に今回は降灰の『量』の予報が加わった。マスクで防護する、外出や運転を控えるなど、降灰量に応じた対応で安全を確保してほしい」と呼びかけています。
《降灰量の3段階表現》 【多量】1ミリ以上=路面が完全に火山灰で覆われ、視界不良となる。外出や車の運転を控える。停電や給水停止のおそれ 【やや多量】0.1ミリ~1ミリ=火山灰が降っているのが明らかに分かり、道路の白線は見えにくくなる。マスクで防護し、車は徐行運転する。稲など農作物が収穫できなくなるおそれ 【少量】0.1ミリ未満=火山灰が降っているのがようやく分かり、うっすら積もる程度。窓を閉め、フロントガラスの灰を除去する。航空機の運航が不可能に