レブロン&カリーの秘策“too small”アクション「混乱を起こすことができる」
「第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)」を戦うアメリカ代表(FIBAランキング1位)に死角は見当たらない。その理由については言及するまでもなく、ケビン・デュラント(フェニックス・サンズ)やアンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)といったNBAでも指折りのスコアラーがフレッシュな状態でベンチから現れたかと思えば、デリック・ホワイト(ボストン・セルティックス)やバム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)といったオールディフェンシブクラスの選手たちに得点源をケアされるなど、要所での絶望感は想像に難くない。 寸分の狂いも許されない相手をさらに苦しめているのが、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)とレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)のコンビである。チームには2人から繰り出される“too small”と呼ばれるオフェンスの秘策が存在し、このプレーによって“キング”はオフェンスで驚異的な輝きを放つ。 “too small”と呼ばれる戦術は、アメリカ代表で最も身長の低いカリーがレブロンのためにスクリーンをセットするアクションのこと。レブロンへのスイッチを強いられるディフェンダーがあまりにも小さすぎることから、この名前がつけられた。怪物級の肉体とスピードを有するレブロンが簡単にリムへと到達し、同時に彼の広い視野を活かしてアシストから得点を演出することも少なくない。 勝利のために脇役としても献身的な活躍を見せるカリーは、この作戦について以下のように説明した。 「僕は優れたスクリーナーで、レブロンのような男がボールを所持した際、混乱を起こすことができる。ウォリアーズでもほかの誰かがボールを持っていて、僕がスクリーンをセットすることもある。僕が実行できるアクションはいろいろあるけど、もしレブロンが真っ直ぐリングに向かうドライブへと移行したら、彼を止めるディフェンスには幸運を祈るよ。そして、僕は空いているスペースへと向かうだけさ。相手に決断を強いれば強いるほど、混乱を生む可能性は高くなるんだよ」 この作戦をピックアップした『The Athletic』は、カリーがもたらすレブロンの恩恵を数字をもとに紹介した。レブロンは準々決勝のブラジル代表(同12位)戦前までの前哨戦を含む8試合でチームトップの1試合平均14.6得点を記録。そして、シュート成功率は驚異の62.7パーセントを記録しており、47本のフィールドゴールのうち3ポイントはわずか7本しかなく、“too small”作戦によるミスマッチによって、リングへ容易にアクセスしている。また、完勝したブラジル戦ではレブロンがゲームハイとなる9本のアシストを成功させており、いかに彼がコートを支配しているのかがわかるだろう。 球団で絶対的な信頼関係を築くスティーブ・カーヘッドコーチもこの作戦には自信を持つ。 「チーム編成時に思いついたのが、ステフを現代版ジョン・ストックトン(元ユタ・ジャズ)に見立てることでした。私が思うに、彼はリーグ最高のスクリーンポイントガードで、とてもフィジカルが強い。周囲はその観点から彼を見ませんが、対戦相手は彼を野放しにすることを恐れています。だから、彼がスクリーンをセットすれば、ほかの誰かに自由が与えられるのです」 数々の脅威が存在する“チームUSA”のオフェンス。準決勝からはこの両選手によるスクリーンプレーに注目してみてはいかがだろうか。 文=Meiji
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