<解説>松本若菜 “西園寺さん”が「ハマり過ぎ」と話題 役にさらなる魅力をもたらす人間力
「やんごとなき一族」の美保子役もそうだが、松本さんが演じる役どころは奥行きを感じさせるものが多い。美保子も単なる性格の悪い“長男の嫁”ではなく、愛人の娘として生まれ、血のにじむような努力で上り詰めたキャラクターだったし、「18/40」で演じた柴崎薫も産婦人科医として主人公の良き理解者という立場だったが、自分自身もひそかに8年にわたって続けていた不妊治療を諦めるというシーンが描かれた。
こうした役どころに奥行きを与える説得力には、「30歳まで腐っていた」と自身も述懐し、デビューから15年でブレークを果たしたという松本さん自身の経歴やそこで培われた人間力も関係があるのかもしれない。最初の発表資料のキャスト欄に松本さんの名前があると「この役は額面通りのキャラではないのでは? 別の一面が隠されているのでは?」とついつい深読みしてしまうのだ。
放送中の「西園寺さんは家事をしない」で松本さんが演じている“西園寺さん”も、徹底して家事をしないバリキャリの独身女性ながら、「シルバニアファミリー」が大好きという一面も持ち合わせる魅力的な役どころ。そして松本さんだからこその親しみやすさや奥行きを“西園寺さん”から感じられているといえるのではないか。
12月に公開される映画「はたらく細胞」で松本さんが演じるマクロファージもまた、優しい笑顔を持つ幼い赤血球のお世話係だが、ウイルスなどの異物を容赦なく殲滅するというさまざまな顔を持ち合わせるキャラクターだ。さまざまな役どころにさらなる魅力をもたらす松本さんの活躍に今後も注目したい。