まるで『ラピュタ』? 首都高速の上を活用した目黒区の「天空公園」
高層ビルが立ち並ぶ東京都心でも、近ごろは景観や環境が求められるようになっています。行政は自然豊かな公園をつくり、道路に街路樹などを植えて環境や景観に配慮しています。しかし都心部では大きな公園をつくる敷地はありません。規制緩和や技術革新が進んだこともあり、昨今はビルの屋上部分を緑化する動きが活発化しています。国土交通省は自らも庁舎屋上に緑化スペースを設けて、屋上緑化を推進しています。ほかにも、公共施設や民間のビルなどでも屋上緑化が積極的に進められています。こうした官民挙げた緑化の取り組みは、多方面に影響を与えました。 【写真】<社会インフラを行く!>ヤマタノオロチ「箱崎ジャンクション」 屋上緑化が進む中、2013(平成25)年3月に目黒区がオープンした公園に注目を集めています。
「大橋ジャンクション」屋上部分に立地
目黒区にある「目黒天空庭園」と「オーパス夢ひろば」は、その特殊な立地からオープンの際、注目されました。従来の公園は一般的に平地にありますが、目黒天空庭園は首都高速道路3号線と中央環状線とを結ぶ「大橋ジャンクション」の屋上部分にあります。どうして、こんな特殊な立地になったのでしょうか? 「大橋ジャンクションの建設計画は、2002年に持ち上がりました。ジャンクションができると、大気汚染や振動、騒音などによって周辺の住環境が悪化するとの懸念がありました。首都高速道路はそうした声を取り入れて、環境に配慮するために大橋ジャンクションの上部部分を緑化する計画を立てていました」(目黒区都市整備局みどりと公園課) もともと大橋ジャンクションの場所には、東急バスの車庫がありました。さらに、その周辺は中低層階の家屋が建ち並ぶエリアでした。ジャンクションの建設計画が進んでいた2004年、東京都が同エリアを再開発エリアに指定します。 そうしたことから、ジャンクションを建設するだけではなく、周辺地域を一体的に開発する方針になったのです。 「再開発エリアに指定されたことで、大橋ジャンクションに隣接する高層マンションの建設が決まりました。そのマンションに住む住民からは『ジャンクション上部を単に緑化するのではなく、公園のような一般開放エリアにできないか?』という要望が寄せられたのです。そこで、東京都・目黒区・首都高速道路株式会社・地域住民の4者で話し合いがもたれました。その結果、大橋ジャンクションの上部空間を区立公園にすることが決まったのです」(同)