【24年も5位フィニッシュ。J1鹿島はなぜ8年連続国内無冠で終わったのか(2)】植田・関川・鈴木優磨……攻守両面の主力依存から25年はいかにして脱却するべきか
ランコ・ポポヴィッチ監督のシーズン途中の解任、佐野海舟(マインツ)の移籍、チャヴリッチや濃野公人の負傷、鈴木優磨以外の明確な得点源の不在…。2024年の鹿島アントラーズがタイトルに手が届かなかった要因はいくつもある。その中で特に気掛かりだったのが、選手層の薄さだ。 ■【画像】「ラスボス感半端ない」「ダントツでかっけぇ」鹿島FW鈴木優磨が披露した「20万円超えブラックジャケット」着用姿■ 特に気になったのが守備陣。センターバック(CB)が植田直通と関川郁万の2人しかいないという状況が長く続き、彼らが勤続疲労に陥ったのは確かだろう。 シーズン開幕前にヨシプ・チャルシッチとの契約が破談になったのも響いたが、ポポヴィッチ監督は若手の津久井佳祐を3月9日の町田ゼルビア戦で先発させて苦杯を喫して以来、全くと言っていいほど彼を使わず、植田・関川に依存。カップ戦でも使い倒した。 夏場に三竿健斗が加入し、これで一息つけると誰もが思ったはずだったが、公式戦から長く遠ざかった三竿のパフォーマンスがなかなか上がらず、3人を併用するような状況も作れなかった。 結果的に鹿島の通算失点は41と優勝した神戸、3位・町田、4位・ガンバ大阪より多くなった。1試合平均1以下を実現しないとやはり王者の座には手が届かない。来季に向けてCBの補強は必須。左サイドバック(SB)安西幸輝のバックアップ探しも重要になってきそうだ。
■鈴木優磨の有無の大きさ
鈴木優磨に匹敵する点取屋の存在もさらなる躍進を目指すうえで必要ではないか。鈴木優磨が今季15点をマークしたのは称賛すべき点ではあるが、彼がいる時といない時ではチームの攻撃迫力が全く違うと言っても過言ではなかった。 レギュラーとして試合に出ていた師岡柊生が3点、名古新太郎が5点、仲間隼斗が4点が4点というのも、やはり少ないという印象が拭えない。前半戦だけで7点をマークしたチャヴリッチが来季も残留するのか、残った場合にはシーズン頭から稼働できるのかどうかもあるが、やはり2ケタゴールを取れる人材がもう1枚はほしいところだ。 今季のガンバ大阪は宇佐美貴史という大黒柱に加え、アカデミー出身の21歳・坂本一彩が10点をマーク。チームの成績を押し上げたが、そういう存在が出てくればチームの活性化にもつながる。20代前半の師岡、10代の徳田誉にはぜひともその領域を目指してもらいたい。補強も含め、クラブがどういった動きを見せるのか注目すべきである。 ボランチにしても、来季は三竿が戻って柴崎岳、知念慶の3人を中心に回すことになるのだろうが、三竿も柴崎ももっとパフォーマンスを上げないといけない。特に柴崎はケガの影響もあったのか、本来の輝きをピッチ上で体現する場面が少なかった。 同い年の宇佐美や武藤嘉紀も欧州から戻ってから本領を発揮するまでに長い時間を要したが、2025年は完全復活が強く求められる。高い理想を持つ男だけに、周りから指摘される前に自分自身がトップフォームでないことを認識しているはず。柴崎が持てる能力を出し切らないと鹿島のスタンダードは上がらない。それは誰もが認める点。33歳になる来季は「柴崎、ここにあり」を見せるしかない。
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