ヘッジファンド、米大統領選前に円ショート積み増し-8月以来の水準
(ブルームバーグ): 先週の米国の大統領選挙を前に、ヘッジファンドが円に対して8月以降で最も弱気な姿勢だったことが明らかになった。共和党候補のトランプ氏勝利を予想する円のショート(売り)ポジションが大統領選に向け拡大した。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、投機筋はトランプ氏が選挙で圧勝した5日までの4週間にわたり円のショートを積み増していた。大統領選の結果が6日明らかになり、円は対ドルで急落。翌7日は反転した。
ドル上昇などに賭けるいわゆる「トランプトレード」は、トランプ氏が減税や関税引き上げを公約に掲げていることに基づいており、インフレと米国債利回りの上昇につながる可能性がある。ただ円のトレードは単純ではなく、ドル軟化や日本の通貨当局の円安けん制を受け円は巻き返した。
みずほ証券の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは、「トランプトレードが広がっており、ドル高の流れだ」と指摘。トレーダーが、低金利の円を借り高利回りの市場に投資する「円キャリートレード」に回帰する可能性があるとの見方を示した。
同氏は「日本銀行が12月または1月に利上げする可能性が高いにもかかわらず、円キャリートレードが拡大する方向に向かっている」とも述べた。
ドル・円相場の方向性を巡っては、日米の短期金利差に再び左右される可能性が高いとの指摘も出ている。 米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退すれば、ドルは上昇し、円からメキシコ・ペソなどの新興国通貨まであらゆる通貨に下落圧力がかかる可能性が高い。
アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏は「経済は堅調で、インフレの上振れリスクもある。市場はFRBの利下げを織り込み過ぎている」とリポートで指摘した。
目先、ドル・円相場を最も直接左右しそうなのが、13日に発表される10月の米消費者物価指数(CPI)で、FRBの政策に影響する可能性が高い。ブルームバーグの調査によると、10月の米CPIは前年同月比2.6%(9月は2.4%)と見込まれている。
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Mia Glass, Ruth Carson