【オーストラリア】VIC州経済が他州に後れ、雇用や住宅など
オーストラリア・ビクトリア(VIC)州の経済が、賃金や住宅価格、消費支出、景況感など多岐にわたる経済指標で他州に後れを取っているようだ。全国の失業率は9月に4.1%で前月比横ばいと低水準で推移しているが、同州は4.4%で、最大州ニューサウスウェールズ(NSW)州の3.8%を大幅に上回った。エコノミストらは、同州の経済州としての地位は低下したと警告している。 コモンウェルス銀行(CBA)の世帯支出分析によると、VIC州の伸び率は9月までの1年間に1.4%と、首都圏特別区(ACT)に次いで2番目に低かった。 賃金上昇率は第2四半期(4~6月)に前年同期比で3.3%となり、NSW州の4.2%、クイーンズランド州の4.6%を大幅に下回り、全国で最低だった。 過去1年間の住宅価格も、多くの州が2桁成長を記録する中、VIC州は伸び悩んでいる。 またこれまでに、メルボルンで企業が開催するイベントや会議の件数が減少し続けシドニーに首位の座を奪われたことも明らかになっている。 メルボルンでは現在市長選挙が行われており、今週25日に投票が締め切られる。候補者の1人で無所属のアーロン・ウッド氏は、経済紙オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(AFR)に対し「メルボルン市内を歩けば、空き店舗の看板を見かけ、どれほど衰退したかが分かる」と述べた。 独立系エコノミストのソウル・エスレイク氏は、「過去20年で、VIC州は国内で有数の豊かな州から、南オーストラリア州やタスマニア州と並んで最も貧しい州の1つに転落した」との見方を示した。