あなたの知らない札幌《酒ミュージアム》前編 昭和の女優たち宣伝の歴史
【北海道・札幌】人口200万人の声も聞こえる北の大都市・札幌。その札幌には、多くの観光地や名物施設があります。とはいえ、札幌市民ですらそれらのすべてを知っているわけではありません。そこで「あなたの知らない札幌」と題した企画をスタート。第11回前編は、来年開館15周年を迎える「酒ミュージアム」(札幌市中央区)で展示されている“札幌の地酒”の歴史について、同施設を運営している日本清酒株式会社の営業管理部・広報企画課の櫛引はるかさんに伺いました。(取材・構成/橋場了吾)
“札幌の地酒”の歴史は144年前にスタート
酒ミュージアムは、札幌唯一の酒蔵を持つ日本清酒が2002(平成14)年にオープンした、“札幌の地酒”の歴史を知ることができる施設です。明治中期の道南・伊達市に建てられた味噌醤油蔵の古材を天井梁に利用し、日本清酒の144年の歴史を表現しています。 その日本清酒ですが、1872(明治5)年に石川県から北海道に渡って来た柴田與次右衛門(よじうえもん)が設立した「柴田酒造店」が起源です。その後、1897(明治30)年に数社が合併されて日本清酒の前身となる「札幌酒造合名会社」が設立されました。そして1924(大正13)年に「札幌酒造株式会社」となり、1928(昭和3年)に8企業を合同し「日本清酒株式会社」になりました。日本清酒で製造している日本酒の銘柄は『千歳鶴』というのですが、この銘柄は合同した中の1社の銘柄をそのまま統一銘柄として使用しているものです。 現在の酒造工場である「丹頂蔵」が竣工したのが1959(昭和34)年。当時としては国内最大規模の酒造工場となり、積極的な広告展開を行いました。香川京子さん、朝丘雪路さん、鮎川いずみさんなど昭和中期を代表する女優さんがポスターに登場しました。この歴代ポスターが酒ミュージアムに展示されているのですが、「このポスターを譲ってもらえないか」という声が絶えない人気展示となっています。