日本人は「学力が高い」、でも「ビジネス力は低い」2つの理由、教育が抱える大問題
過去の本連載で、日本人は子供の時の能力が高いものの、大人になると勉強をしなくなる傾向にあると指摘した。だが実は、「学校型能力」という指標は大人も高い傾向にある。では何の能力が低いのか。それは経済活動を進めるのに必要な「実務型能力」だ。なぜ「勉強はできるがビジネス能力が低い」という乖離が生まれるのか。 【詳細な図や写真】日本の小学4年、中学2年の学力は世界のトップレベルを誇る(文部科学省・国立教育政策研究所「TIMSS2023の結果のポイント」)
日本人は大人も「勉強は」できる
小学4年と中学2年を対象とした国際学力テスト「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の2023年の結果が、12月4日に発表された。これは、国際教育到達度評価学会(IEA)が、1995年から4年ごとに実施している調査だ。 日本は、小4算数が58カ国・地域のうちの5位、理科は6位。中2数学が44カ国・地域のうち4位、理科は同3位だった。このように、小学4年、中学2年の学力で、日本は世界のトップレベルだ。 なお全教科・学年で、シンガポールが1位。台湾が2~3位、韓国が2~4位を占めた。 OECDが進めているPISA調査(生徒の学習到達度調査)もある。これは、15歳を対象として、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について、3年ごとに実施する調査だ。 2022年調査では、日本は科学的リテラシーが2位、読解力が3位、数学的リテラシーが5位だった。2018年調査では、科学的リテラシーが5位、読解力が15位、数学的リテラシーが6位だった。15歳の日本人の学力は、OECD加盟国中でトップクラスを維持している。 12月10日には、国際成人力調査(PIAAC)の結果が発表された。これは、経済協力開発機構(OECD)が行っている調査で、初回は2011~12年だった。2022~2023年の今回は2回目。31カ国・地域の16~65歳を対象としている。 日本は、読解力と数的思考力で、前回は1位だったが、今回は2位だった。「状況の変化に応じた問題解決能力」は、フィンランドと並んで1位だった。 以上で見たのは、さまざまな人的能力のうち、学力に関するものだ。このほかに、企業経営に関連する人的能力の国際比較調査もいくつかある。こうした調査では、日本人のビジネス能力は、おしなべて著しく低い。