サーキットの狼世代へ|一時はトップグループを走った「鈴木サトル」のヨーロッパ スペシャル
【サーキットの狼世代へ 1972年式 ロータス・ヨーロッパ スペシャル仕様】 なお、今回紹介しているミュージアム収蔵個体は、72年式のDOHCモデルを、ビッグバルブヘッドに交換するなど、各所をスペシャル仕様とした1台である。 【画像19枚】風吹のあとを追い続けた もう1台のロータス・ヨーロッパ。サーキットレースには非力な性能ながら、優れたハンドリング性能と鈴木サトルの機転によって上位に食い込んだ FRPボディの採用により車重は非常に軽く、タイプ46の車重はわずか610kg、最終型のスペシャルでも730kgにすぎない。この軽い車重とミッドシップ・レイアウトによる優れたハンドリング性能が身上である。 限界まで低く搭載された1.6L直列4気筒DOHCユニットは、最高出力126ps、最大トルク15.6kg‐mを発揮する。公道であれば十分なパワーだが、流石島のような大排気量車が参戦しているサーキットでのレースにはいかにも非力いえる。 作中でも鈴木サトルは十分にそれを理解しつつも、風吹へのあこがれからあえてロータス・ヨーロッパ スペシャルで参戦。乏しいパワーを最大限に引き出しつつ、海岸通りなどのタイトなコーナーではハンドリング性能のポテンシャルを生かして目覚ましい走りを見せた。 加えて、早瀬佐近やフェラーリの女豹と同じく、いち早くレインタイヤに切り替える機転によって、一時はトップ3の位置を走るなどの活躍を見せている。 サーキットの狼Story/風吹のあとを追い続けたもう1台のロータス・ヨーロッパ ロータス・ヨーロッパをよく知る当の風吹からもパワー不足を指摘された鈴木サトルだが、見事予想を覆し、一時はトップグループで走行するに至る。しかし、徐々に性能でも技術でも上回るライバルに引き離され、セカンドグループへ。ラスト1周、トップを追う風吹のヤタベRSがセカンドグループの他車にブロックされると、風吹を助けるために大クラッシュ。クルマもサトルも大きなダメージを受け、リタイアとなった。 1972年式 ロータス・ヨーロッパ スペシャル仕様 全長×車幅×全高3980×1650×1090mm ホイールベース234mm トレッド 前/後134mm/1346mm 車輌重量730kg エンジン水冷直列4気筒DOHC 縦置きミッドシップ 総排気量1558cc 最高出力126PS/6500rpm 最大トルク15.6kg-m/5500rpm 生産年1971~1975年 生産台数4710台(TC&SP) 生産国イギリス ※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。 初出:ノスタルジックヒーロー 2018年 12月号 Vol.190 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部