三回表仙台育英無死、八巻が右越え本塁打を放つ（投手、達）＝阪神甲子園球場で2021年3月29日、津村豊和撮影

　第93回選抜高校野球大会は第9日の29日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で準々決勝が行われ、仙台育英（宮城）は天理（奈良）に3―10で敗れた。3番の八巻真也右翼手（3年）は三回にソロ本塁打を放つなど活躍したが、勝利には届かなかった。 【仙台育英vs天理の試合を写真特集で】 　帽子のつばの裏に「八巻家最強」の文字。「両親にいろいろ助けてもらっているから、八巻家とつけた」と語る孝行息子が、聖地で一発を放ち、恩返しした。 　2点を追う三回、先頭で迎えた打席。大会屈指の右腕、天理・達の低めの141キロを右翼ポール際に放り込んだ。ちょっと口下手な少年は「うれしかった」と表情を崩した。 　狙い通りの一振りだった。直球に力があるため、高めを打ってしまうと「フライになる」と警戒していた。3球連続で高めの直球が来たが、我慢した。4球目、待ちわびた低めのボールを振り抜くと、上々の感触がバットから伝わってきた。 　1回戦の明徳義塾（高知）戦は無安打だったが、2回戦の神戸国際大付（兵庫）戦は4打数4安打1四球。この日も六回の第4打席の四球で9打席連続出塁を果たし、2安打1打点2四球と一人、気を吐いた。 　チームは敗れたが、「どの打席もしっかり準備して入れた」と振り返ったスラッガー。「甲子園は好投手が多く難しかった。でも、丁寧に戦うことの大切さを感じられた」 　本塁打の喜びに成果を残した自信、そして今後への教訓。春風とともに得た多くの財産を、東北に持ち帰る。【岸本悠】 　◇全31試合を動画中継 　公式サイト「センバツLIVE！」では、大会期間中、全31試合を中継します（https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021）。また、「スポーツナビ」（https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/）でも展開します。