小栗旬、窪塚洋介と26年ぶり共演!「フロントライン」で松坂桃李&池松壮亮と初タッグ
俳優の小栗旬が、世界規模で人類が経験した新型コロナウイルスを事実に基づく物語として、オリジナル脚本で映画化した日本で初めての作品「フロントライン」(関根光才監督/2025年6月公開)に主演することがわかった。豪華キャストの出演が明らかになり、小栗は松坂桃李、池松壮亮とは初共演となったほか、窪塚洋介とは26年ぶりのタッグを果たしている。 物語の舞台は、2020年2月3日に横浜港へ入港した後、日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」。乗客乗員は世界56カ国の3711人。横浜入港後の健康診断と有症状者の検体採取により10人の感染者が確認されたことで、日本が初めて治療法不明の未知のウイルスに直面することとなった。この状況下で“最前線”に駆けつけたのは、家族を残し安全な日常を捨てて「命」を救うことを最優先にした医師や看護師たちだった――。 当時、日本に大規模なウイルス対応を専門とする機関は存在せず、急きょ対応することになったのは災害医療を専門とする医療ボランティア的組織のDMAT(ディーマット)だった。DMATとは、災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team)を略した医師、看護師、医療事務職で構成され、大規模災害や事故などの現場に約48時間以内から活動できる専門的な訓練を受けた医療チーム。地震や洪水などの災害対応のスペシャリストだが、未知のウイルスに対応できる経験や訓練はされていなかった。 今作の企画、脚本、プロデュースを務めたのは、「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」で知られる増本淳プロデューサー。300ページを超える取材メモから、これまで知られることのなかった船内のエピソードを丁寧に脚本にまとめ上げているが、企画のきっかけは「クルーズ船に入船した医師との会話」だったという。「その医師が語ってくれた船内の実態は、世の中に知られていないことばかりで、驚くべきことや涙なくしては聞くことのできないエピソードの連続でした」と吐露。それだけに、「この知られざる愛と勇気の物語を一人でも多くの人に共有してもらいたい」と思いを語る。 本作では、ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に入港した20年2月3日から、乗客全員の下船が完了した2月21日までが描かれる。主演の小栗は、未知のウイルスに立ち向かうDMATの指揮官・結城英晴(ゆうき・ひではる)に息吹を注いだ。撮影を終えた直後には、「日常を取り戻したこの状況の中で、忘れてはいけないかなり大きな出来事だなと思うし、それを映画として届けられるという事は僕たちにとっても挑戦的だった」と明言。そして完成した本編を鑑賞し、「すごく力のある映画でした。全員が主役の映画になっており、参加できたことを誇りに思います」と手応えをにじませる。 小栗演じる結城と対策本部でぶつかり合うこととなる厚生労働省から派遣された役人・立松信貴(たてまつ・のぶたか)を演じた松坂桃李は、初共演となった小栗に対し「一人一人に対して真摯にコミュニケーションを取っていらっしゃるし、現場での立ち姿も含めて、小栗さん全体が作品を包み込もうとする、そういう温かさを持った方。それがすごく結城とリンクする部分がある」と敬意をにじませる。 地元である岐阜に家族の残し、横浜に駆けつけたDMAT隊員・真田春人(さなだ・はると)役の池松は、「大クラスターに立ち向かった名もなき勇者たちの奮闘にスポットを当て、コロナによって浮き彫りになる様々な人間性を映し出し、思いやりや善意という人に与えられた希望を浮かび上がらせ、深く心に残る物語になっていました」と完成した本編の感想を明かす。そんな池松に対し、小栗は「とっても尊敬する俳優さんなので、目の前で芝居が見られてラッキーって思っているくらい」と最敬礼だ。 ドラマ「GTO」以来26年ぶりの共演となった窪塚に対し、「若い頃から僕にとってはヒーローみたいな俳優さんなので今回肩を並べさせてもらってやっと願いが叶ったみたいな自分にとっては大きな出来事」と語った小栗。結城とは東日本大震災でも共に活動し、“戦友”とも呼べる過去を持つ仙道行義(せんどう・ゆきよし)という役どころを得た窪塚だが、「旬が声をかけてくれて、新型コロナウイルスの話なんだけど興味があるかって。ちょっと警戒したんだけど台本に感銘を受けて、これはぜひやりたい」と小栗からの出演オファーだったことを披露している。 今回の発表に併せてお披露目されたビジュアルには、劇中の4人それぞれの視線の先にある“最前線”を表情だけで構成したインパクトのあるもの。そして、「最前線で守るべきは、この国か、目の前の命か。」という衝撃的なコピーが掲げられている。さらに、3分47秒に及ぶシズルリールは、劇場予告編や本編のダイジェスト映像と違い、本編映像、メイキング映像、メインキャスト4人のインタビューで構成された先行特別映像。メインキャスト4人にフォーカスした内容になっており、今後彼らを取り巻く他キャスト陣がどのように物語に関係してくるのか、目を離すことができない。 なお、増本プロデューサー、関根監督のコメント全文、メインキャスト4人の本編観賞後のコメント全文は以下の通り。 ■増本淳 きっかけは、まだ私たちの生活に新型コロナウイルスが深く入り込んで来る少し前、2020年3月の初めごろに出会った、クルーズ船に乗船した医師との会話でした。当時は新型コロナウイルスが蔓延するクルーズ船のことを、マスコミが盛んに伝えていましたので、私もわかったつもりでおりました。ところがその医師が語ってくれた船内の実態は、世の中に知られていないことばかりで、驚くべきことや涙なくしては聞くことのできないエピソードの連続でした。日本中の誰よりも先に未知のウイルスに立ち向かうこととなった医師や船員、乗客たちはどれほどの恐怖や葛藤を味わったのでしょうか。また家族は彼らをどんな気持ちで送り出したのでしょうか。私はこの知られざる愛と勇気の物語を一人でも多くの人に共有してもらいたいと考えました。そしてこの度、多くの人々の協力を得て、こうして皆さまに映画という形でお届けできることになりました。 ■関根光才監督 未知のウイルスがもたらす「パンデミック」というものについて、2020年以前の私たちはほとんど無知であり、その衝撃に、私たちは人生が静止するかのような経験を共にしました。全人類が共有することになる出来事というのは、私たちが生きている間あと何回起こり得るでしょうか?その最初期に起きたとあるクルーズ船での「クラスター」、それもこの初めて経験する恐ろしい事態に突然放り込まれ、立ち向かうことになった最初の医療従事者たちや様々な人々の葛藤や愛の実話を、増本淳さんのオリジナル脚本で映画化する…稀有で、挑戦的で、私たち皆が共有すべき作品になると思いました。そしてこの作品に参加できるなら、それはフィルムメーカーとしての重要な責務だとも感じていました。もし次にパンデミックが起きた時、私たちは一体どうするのか…知られざる物語から紐解ける何かが、きっとあると思います。 ■小栗旬 (結城英晴役) すごく力のある映画でした。全員が主役の映画になっており、参加できたことを誇りに思います。どのエピソードも実話をベースにしたものなので、とてもドラマチックでした。 ■松坂桃李 (立松信貴役) 撮影時は船内がどんな風に描かれていくのかわからないまま、緊張感だけは絶やさずに現場に臨んでいました。何が起きているのかわからない。これは当時、実際に関わっていた人々の誰しもが感じていた感情だったのだと思います。 観た方の中に記憶として残り、この映画を心の中で持ち続けられるような作品になってほしいです。 ■池松壮亮 (真田春人役) ダイナミックな映像と人間ドラマが調和し、社会性とエンタテインメント性の両方を備えた素晴らしい映画に仕上がっていました。今作の制作に関わった全員の努力と献身に、そしてあの時この世界を支えてくれた全ての医療従事者の方々の勇気と献身に、心から敬意を表したいと思いました。 ■窪塚洋介 (仙道行義役) 手前味噌ですがとても素晴らしい作品でした。皆で乗り越えたコロナ時代がまだ生々しいので、登場人物たちそれぞれ色んなシーンでたくさんの思いが溢れて涙に変わりました。何気ないカットにも心が震えることも多かったです。