物流の「2024年問題」 長崎県内の企業など56%「影響あった」…コスト上昇や遅延など
昨年はトラック運転手の残業規制強化で物流が滞る「2024年問題」が注目された。長崎新聞社と十八親和銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)が県内主要企業・団体に昨年末実施したトップアンケートで「影響があった」と答えたのは56%。内容は輸送のコスト上昇が最も多く、遅延や運転手不足も挙がった。新年も引き続き対策が求められている。 昨年4月から、働き方改革関連法に基づき時間外労働(残業)の上限規制が運転手にも適用された。 回答した94人のうち、影響が「大いにあった」は14人、「ややあった」が39人に上った。一方「あまりなかった」は23人、「なかった」が14人だった。 「あった」という人に主な影響について選択・複数回答式で質問。影響の程度と具体的な対策も記述式で尋ねた。 影響の内容は「輸送コストの上昇」が44人に達した。卸売・製造業の1人は「約20%上昇し経営を圧迫。具体的な対応策を見いだせない」と嘆く。価格転嫁を検討している製造業も。ある卸売業は通販の送料値上げに踏み切り「お買い得感のある送料込み商品を一部に採用した」という。 次点は「輸送の遅延」と「運転手不足」が各13人、「業者の選定・確保難」が12人で続いた。製造業の1人は「これまで柔軟に対応できていた原材料の入荷がタイムリーではなくなり、納期調整や材料遅延による失注などがあった」と明かす。別の製造業は「(トラックへの)積み込み待ちを無くすため積み荷(製品)準備を急ぐ必要がでてきた」。ある飲食業は工場から店舗への動線を分割し、1運行当たりの運転手の拘束時間を短縮した。 同研究所の泉猛主任研究員は「企業収益の圧迫要因になっており、一過性の課題ではない」と指摘。通販での置き配活用や余裕を持った発注などを例に「今後も消費者の行動変容や、企業の商習慣の見直し・実践が求められる」としている。