「待遇に満足な社員」が会社を辞めてしまう真因、なぜ互いに「相思相愛」の関係が築けないのか
■エンゲージメントの向上を阻む3つの誤解 自社のエンゲージメントを把握するためには、「エンゲージメントサーベイ」などと呼ばれるアンケート調査を行なうことが一般的です。 しかし、ただ調査して終わりでは意味がありません。調査後に、「See(現状分析)」→「Plan(施策立案)」→「Do(施策実行)」という3ステップでエンゲージメントの向上を図っていくことが重要です。この各ステップで生まれる誤解について解説します。
Seeにおける誤解…「従業員の不満を解消すればエンゲージメントは上がる」 サーベイの結果をもとに「See(現状分析)」をして、従業員の不満や組織の課題を抽出していきます。しかし、従業員の不満を解消するだけで、エンゲージメントが向上するとは限りません。このことは、「ハーズバーグの二要因理論」からも明らかです。 ハーズバーグの二要因理論とは、職場における満足・不満足を引き起こす要因に関する理論で、米国の臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱したものです。ハーズバーグは、職場において不満足を招く要因を「衛生要因」、満足につながる要因を「動機づけ要因」と定義しました。
【衛生要因】企業の方針と管理方式、監督、賃金、対人関係、作業条件など 【動機づけ要因】達成感、承認、仕事そのもの、責任、成長など 衛生要因の不足は従業員の不満足を招き、動機づけ要因の充足は従業員の満足につながります。 この理論のポイントは、衛生要因を充足しても満足にはつながらず、動機づけ要因が欠けていたとしても、不満足を引き起こすわけではないということです。 多くの企業では、給与や働き方を見直すなど、従業員が抱えている明確な不満を解消しようと努めますが、衛生要因を解消するだけでは、いつまで経ってもエンゲージメントは向上しません。
もちろん、衛生要因への対応も必要ですが、エンゲージメントを向上させるためには「いかに動機づけ要因を生み出せるか」が重要です。 ■従業員は「何をどのくらい求めているのか」 Seeのポイント…満足度だけでなく期待度も測る 動機づけ要因を生み出すためのポイントは、エンゲージメントサーベイで従業員の「期待度」を測ることです。満足度だけを測るサーベイでは、満足度の低い項目からしらみつぶしに対策していく、という方針になりがちです。