「20代の悪習慣」が40代の認知力に悪影響を与える可能性…習慣改善のポイントは?研究結果が示唆
最新の研究で20代のライフスタイルが40代の認知機能に大きな影響を与えることが示された。もしあなたが20代なら、今こそ後の人生で健康な脳を保つために生活習慣を見直す時かもしれない。 〈写真〉「20代の悪習慣」が40代の認知力に悪影響を与える可能性…習慣改善のポイントは? ■炎症とは何か? ケガをしたり、病気になったりすると、体は体内に入ってくる異物を排除しようと正常な働きをする。これを「急性炎症」といい、体にとって必要な反応である。一方、「慢性炎症」は体内に長期間にわたって居座り、健康な組織を攻撃する状態を指す。慢性炎症は、長期のストレス、質の悪い睡眠、喫煙、運動不足、肥満、そして食品中の化学物質などが原因で発生する。 ■なぜ20代の「慢性炎症」が問題なのか? 「慢性炎症」は関節炎、心臓病、ガン、糖尿病など多くの健康問題の原因となる。また、認知症やアルツハイマー病とも関連している。カリフォルニア大学サンフランシスコ校が2024年7月3日に発表した最新研究によると、若い頃から「慢性炎症」を予防し、しっかりと治療することが後の認知力低下を防ぐのに役立つことが示された。 ■最新研究で明らかになったこと カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者たちは、若年成人(CARDIA)研究という長期研究データを使用した。この研究には18歳から30歳の2364人が参加し、約55%が女性だった。参加者の生活習慣(喫煙、飲酒、運動、BMIなど)やうつ病の既往歴なども記録され、アルツハイマー病のリスクが高い遺伝子の有無に関する調査も行われた。18年間の間に、参加者は4回、炎症の指標となるC反応性タンパク質(CRP)の血液検査を受けた。最後のCRP検査の5年後に、参加者は複数の認知テストを受けた。これにより、若い頃の炎症レベルと中年期の認知力との関係が調査された。 研究の結果、若い頃に炎症レベルが高かった参加者は、中年期に認知力が低下する可能性が高いことが明らかになった。特に、処理速度(情報を受け取り、理解し、反応する速度)が遅くなり、実行機能(他の認知能力や行動を制御するスキル)が低下するリスクが高かった。これは、脳の変化が若いうちから起こることを示唆している。この研究の著者は、若年成人期の生活習慣が中年期の認知力に影響を与え、その後の認知症のリスクに影響を与える可能性があると述べている。 ■生活習慣の改善が鍵 この研究は、若年成人期から炎症を予防し、治療する必要性を強調している。特定のライフスタイル要因が炎症に影響を与えることが知られているため、生活習慣を改善することが重要だ。炎症を減少させ、認知機能を保護するための具体的なアドバイスを紹介しよう。 ■■ストレスマネジメント 慢性的なストレスは炎症の大きな原因。ヨガや瞑想などのリラクゼーション法を取り入れることで、ストレスを軽減しよう。 ■■質の高い睡眠 十分な睡眠は、体の回復と炎症の抑制に不可欠。毎晩7~9時間の睡眠を目指し、規則正しい睡眠習慣を維持しよう。 ■■禁煙 喫煙は炎症を引き起こす主要な要因のひとつである。禁煙をサポートするプログラムやリソースを利用して、タバコをやめる努力をしよう。 ■■適度な運動 定期的な運動は、炎症を減少させることが証明されている。週に少なくとも150分の中程度の運動を目指そう。 ■■バランスの取れた食事 抗炎症効果のある食品を積極的に摂取しよう。例えば、果物、野菜、ナッツ、魚、全粒穀物などがおすすめだ。MINDダイエット(脳の健康を重視した食事法)を取り入れるのも良い。 自分の健康を守るために、今からできることを始めよう。体を動かし、質の良い睡眠を確保し、ストレスを管理し、バランスの取れた食事を心がけることで、未来の自分の脳を守ることができる。 出典: Inflammation in Your 20s Can Negatively Affect Cognitive Health in Your 40s, According to a New Study Stay Healthy In 20s: Inflammation In Young Adulthood May Reduce Cognitive Skills Later 文/山口華恵
山口華恵