フランス債が2020年以来の大幅下落、マクロン氏辞任観測も拍車
(ブルームバーグ): 11日の欧州債市場で、フランス債が続落。マクロン大統領の総選挙実施決定で、同国の経済と政治見通しに対する投資家の信頼は揺らぎ続けている。
マクロン氏が辞任発表を準備しているとの観測も浮上し、市場の混乱はさらに悪化。この観測は、同氏に近い関係者が速やかに否定した。マクロン氏は12日に記者会見し、選挙戦を開始するとこの関係者は付け加えた。
マクロン仏大統領が辞任の可能性協議と一部報道、関係者は否定
フランス10年債利回りは一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して3.32%となり、2日間での上昇としては2020年3月以降で最大となる勢い。同年限のドイツ債とのスプレッドは9bp拡大して65bpと、終値のデータで2020年以来の大きさとなった。
「どの水準になれば国内勢の買いが入るのか、われわれは自身に問い掛けている」とナティクシスの金利ストラテジスト、テオフィル・ルグラン氏は語った。同氏は以前、ドイツ債とのスプレッドが60bpになればフランス国内投資家が買いに入ると見込んでいたが、いまやその水準が70bpになったようだとみている。
市場の混乱は株式にも波及。CAC40指数は一時1.2%安を付けた。BNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコルなど銀行株中心に売られている。指数の週初からの下落率は2.5%に達している。
今月末に予定される総選挙は、究極的にはマクロン氏の経済政策を巡る対決となる恐れがある。同氏が2017年に大統領に就任して以降、この政策が企業や投資家を安心させていた。与党連合が議会過半数と政府を失えば、財政赤字の穴埋めはいっそう難しい問題になる。
RBCブルーベイ・アセット・マネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、カスパー・ヘンス氏は「年初からフランスをショートしてきたが、それは財政の悪化が理由だった。マクロン氏の戦略には驚かされた」と述べ、「そもそも地政学リスクが高まっている時に、新たな選挙を行うのはリスクの高い戦略だ」と続けた。