18歳の遠藤航に衝撃「なかなかできない」 ユース時代で常人離れ、恩師が明かす“唯一無二”【インタビュー】
「彼らには試合勘なんて言葉はないんじゃないかな」
遠藤がリバプールで出場機会を減らしたことを受け、日本代表の試合に向けて試合勘が鈍ってしまうのではないのかという心配の声がファンやメディアの間でも持ち上がった。遠藤自身はそれを全く意に介していない様子だったが、曺監督もそういった心配は一切ないと感じているようだ。 「海外に行ってからも彼は試合に出られないという経験をしています。だから時間をかけて見てもらえる監督じゃないと使われないなっていうことはしっかりと理解しているはずなんです。だから(現状に)不平不満を言わない。代表では試合勘がないっていうふうに周りから見られないように、イメージトレーニングだったりもしっかりとアプローチはしているはずです」 これまでの経験から試合に出られない時期があっても、その状況に合わせて準備する術は心得ている。そして、それだけではない。世界屈指の競争力を誇るプレミアリーグやUEFAチャンピオンズリーグで戦い続けるチームは常に試合を想定したインテンシティーの高い練習を日々行っている。そんな場所に身を置いている遠藤の「試合勘が鈍る」などと考えること自体がナンセンスと言えるのかもしれない。 「そもそもを言えば、リバプールでは世界で一番レベルの高い練習をしてるはずじゃないですか。彼らは当然、試合をイメージしながら練習をやっているから、彼の中に『試合勘』という言葉がないんじゃないかと思っています。日本だと紅白戦とか練習試合がないと試合勘がなくなるなんて見られ方をされますけど、プレミアリーグのチームは練習で紅白戦はやらない。でも、あのレベルに行くと練習は常に試合をイメージしたものしかないので、試合勘がないなんてことを言われることはないと思いますよ」 教え子が苦しい立場の現状でも、恩師は冷静に見守っていた。 [PROFILE] 曺 貴裁(ちょう・きじぇ)/1969年生まれ、京都府出身。1997年の現役引退後、指導者へ転身。2012年に湘南ベルマーレ監督に就任すると、攻守一体となった堅守速攻の“湘南スタイル”を確立させ、18年のルヴァンカップで初優勝を果たした。21年から京都サンガF.C.の監督に就任。当時J2だったチームを12年ぶりのJ1復帰へ導いた。
石川 遼 / Ryo Ishikawa