センバツ高校野球 石橋 過去2回悔し涙 後輩よ、存分に暴れろ 初の大舞台へOB激励 /栃木
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に21世紀枠で出場する石橋は、2017年の第89回大会、21年の第93回大会でも同枠の関東・東京地区候補校に選ばれていた。惜しくも甲子園の切符を逃した当時の先輩たちも、初の甲子園出場を喜び、後輩の活躍を願っている。【鴨田玲奈】 初めて関東・東京地区候補校になった16年度の主将、入江太一さん(23)は、石橋を卒業後、千葉大教育学部に進学。卒業後、念願だった教諭になり、千葉県流山市の小学校で教壇に立つ。センバツ出場校が発表された1月27日は仕事で、午後6時ごろにスマートフォンを見るとラインの通知が60件以上来ていた。両親や祖父母、当時のチームメートらから、祝福のメッセージが殺到していた。 入江さんが在校当時、秋季県大会と関東大会の全7試合を一人で投げ抜いた竹内海斗さん(23)からも「決まったね」とメッセージが届いており、うれしかった。翌日の土曜を利用して石橋のグラウンドを訪れると、福田博之監督から「ようやく行けたよ。お前らがいなかったら、こうはなっていなかった」と言われた。入江さんは17年に甲子園に行けなかった悔しさを今も覚えているという。「後輩の出場が本当にうれしいし、福田監督に言葉をかけられ、報われたような気持ちになった」と喜ぶ。 ノーシードで出場した16年の秋季県大会では57年ぶりに決勝に進出し、関東大会に初出場した。入江さんは、「失うものも無く、思い返せばずっと楽しかった。関東大会も相手が怖いというより、自分たちもその土俵に立っているというワクワクが大きかった」と振り返る。今回、大舞台への出場を決めた後輩たちについては、「いろいろな人から応援を受け、重圧に感じることもあるかもしれない」とおもんぱかり、「何も背負わなくていいから、とにかく自分たちがどれだけ通用するのか、楽しんできてほしい」と応援する。 2回目の20年度に主将だった小林到さん(19)は、白鷗大教育学部の1年生だ。出場校発表時は、高校時代のチームメートで同じ大学に進んだ笹川健人さん(19)と、スマホで公式サイト「センバツLIVE!」を見ていた。東日本で呼ばれず不安になったが、3校目で呼ばれた瞬間、「やっとだ、やっと報われたなあ」と思い、鳥肌が立った。笹川さんは「きたー!」と叫んでいた。翌日には石橋のグラウンドで、横松誠也主将(2年)に「おめでとう。支えてくれる人たちに感謝して甲子園で頑張って」と伝え、握手とハグをした。 2年前、自分たちがセンバツに出場できないと知った瞬間は、「何も考えられず、ぼうぜんとした」。少しでも前向きになろうと、休みだった直後の週末に小林さんら数人はグラウンドに集まり練習した。だが、気持ちはなかなか切り替えられなかった。「今回選ばれたのは、3回目というのもあったのかな。自分たちが悔しい思いをした分、報われたなら良かった」と話す。 大学では軟式野球部に所属しており、部活動がない日は石橋の練習を手伝い、選手にアドバイスをしている。チームについて、「主将を中心に、他の選手も『しっかりやろうぜ』と言い合えている。やりたい攻撃もしっかり意思統一ができている」と手応えを感じている。「出たくても出られない人が多いのが甲子園。そこでしか感じ取れないものを感じ取って、思う存分暴れてきてほしい」