小泉今日子さん「逆差別をしないでくださいね」…アイドルだった私は「この程度やれば十分」と言われてきた
歌手、俳優、プロデューサーとして活躍する小泉今日子さん(58)の講演会「小泉今日子トークライブ」(読売新聞北海道支社主催)が11月26日、札幌市中央区の共済ホールで開かれた。読売新聞の書評欄「本よみうり堂」で2005年から10年間、読書委員を務めていた小泉さんが、人や本との「出会い」、歌や舞台などに対する思いを語った。来場者らから好評だった小泉さんのトークを詳報する。 【写真】本との関わりについて語る小泉今日子さん
「小泉今日子トークライブ」詳報<3>
<第2部は「KOIZUMI的ア・ラ・モード」と題し、読売新聞書評欄「本よみうり堂」で2005年から10年間、読書委員を務めていた小泉さんが、書評欄の担当だった村田雅幸・読売新聞編集委員と対談した>
村田 私が書評を担当することになり、最初に小泉さんに言われた一言を非常によく覚えています。「一つお願いがあります。逆差別をしないでくださいね」。その意味を聞くと、「アイドルだった私は、『この程度やれば十分』とずっと言われてきた。でも、本当はもっと頑張れるはず。だから村田さんがいいと言うまで何度も書き直します」とおっしゃいました。
小泉 1冊、すごく書き直したことがありましたね。
村田 いしいしんじさんの「ポーの話」という小説の書評でした。
小泉 とても面白いのですが、本当に複雑なお話で。あらすじを書かないと分からないんじゃないかと思って珍しくいっぱい書いたら、村田さんに「そうじゃないです」と言われ、書き直したら、「もう一声。『私の思い』が書かれていないです」と言われましたね。
村田 あの時は4回書き直していただきました。最初に「逆差別をしないで」と言われていなかったら、私は多分そこまでできませんでした。4回目の書き直しで、いただいたメールの冒頭に「もう限界です」と書いていたのに私はびびってしまいましたが、読み進めてみると、それは本当に素晴らしい原稿でした。
小泉 眠気の限界だったのかもしれないですね。
村田 書評を担当した私から見ても、小泉さんはいつもベストを尽くされてきたと思うのですが、その原動力は何ですか。