〈高IQ座談会〉「ギフテッドは世の役に立たないといけないの?」特化する才能を伸ばすことしか考えない、日本の「才能教育」の問題点とは
ギフテッド4人の仕事観と将来の夢
――高IQの方は 収入も高いのではって単純にイメージしてしまうんですが、仕事やお金稼ぎについてはどう考えてますか。 加藤 収入は挑戦や成長に必要な程度はもらっていますが、お金を稼ぐことにそんなにこだわりはないです。ゼロだったものを1にする、今まで社会になかったものを作ることが好きで、その過程をみんなと楽しめるならお金は必要最低限でいい。ゼロイチの後、1から10までは頑張れるんですけど、10から100にするのには興味がなくて、得意な人に売っちゃいますね。 梶塚 私の場合、お金はいくらでも稼ごうと思ったら稼げるシステムを作れるんだけど、自分が何かをやるのが好きなんですよね。例えばガラケーが出てきて液晶がカラーになったとき、「これで漫画を見るサービスができたらおもしろいだろうな」ってお金を集めようとしたんですね。その時、何を考えたかって、私は自分で漫画を描こうというところから始めたんですよ。ビジネスライクな人だったらそっちにいかないんだけど、私は自分が作りたい方にいってしまった。 結局、漫画のビジネスをやらないで、2000年ぐらいにメタバースみたいなものを作って資金調達したんだけど。その後も自分の会社で世界を作ることに没頭しちゃったんですよね。 立花 私にとって仕事は仲間と一緒に遊ぶための手段。だから数字を上げることにあまり興味がなくて、適切な報酬をもらってクライアントが満足して、みんながそこそこ盛り上がれば私も満足で。昔、稼ごうと思って頑張って働いたこともありましたが、合わない環境になじむために仮面を被って過ごすのがとてつもなく苦痛で…病気になって辞めました。今は自分の思う通りに生きていますね。 加藤 仕事を仕事だとは思ったことないですね。 梶塚 労役だとは思ってないね。 春間 「何で稼ぐか」の方が大事みたいな。 ――最後にみなさんの今後の展望を聞かせてください。 加藤 完全に個人的な残りの人生の使い方ですが、個々人の能力の活かし方を就職以外でもっと広げていきたい。昔は「就職する」でしか社会に能力を還元できなかった。でもだんだん「業務委託」っていう形で会社という枠の外でも力が発揮できるようになってきた。それのもう一つ緩い枠組みでスキルシェアの幹線道路を作りたいなって思っています。 今、いくつかの会社で技術顧問をやっているんですが、実は、求められる知見の大半は大学院生でも答えられる内容なんです。僕を使うのは割高なんですよ(笑)。でも彼らは大学院生とつながるツテがない。だから僕はある種のスペシャリスト予備軍と(企業の)人を上手くマッチングさせる、就職でもなければ、あなたのところで働かないかもしれないけど、いつでも気軽に互いの得意を共有できる「仲間」へのアクセス環境を整備する、ということを残りの人生でやっていきたいなと思っています。 梶塚 個を解放してあげるというか、個による呪縛からそうじゃないもっとダイナミックな関係性に捉え直すっていうのはすごく重要だなって思います。 加藤 知識って無限に複製可能なのに、それを必死に隠そうとするアンチ進歩性のおぞましさというか、いつまでそんなものにこだわっているんだろうって。 梶塚 あんまり合理的ではないよね。 春間 僕は冒険で近々、南米のアマゾンに行く予定なんですよ。 一同 え~!? 立花 私はやりたいことを十分やってきて、非常に満足しています。でも、今この路線で進んでいってもやることの規模が大きくなるだけで、本質的には変わらないからおもしろくないなと思って。だから逆に結婚とかしたいですね。今度はちゃんとした共同生活で基盤を一新させて。そうやって変わった自分が次に何を見出して、何をやりたくなるのかっていうのに興味があります。だから今、 真面目に結婚がしたいです(笑)。 取材・文/木下未希 撮影/集英社オンライン編集部
集英社オンライン
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