「母になっても自分だった」...コメディエンヌのジェニー・スレートが語る「私になり切る覚悟」
<エッセー集を出した俳優・コメディエンヌが語る「私という生命体」とは?>
俳優・コメディエンヌのジェニー・スレートは、本当の自分になり切る覚悟ができている。 【動画・写真】俳優・コメディエンヌのジェニー・スレート 「私の仕事にはっきり出ていると思うのは、私自身の旅。母親としての私だけじゃなくて、発展途上のアーティストとしての私も含めた自分自身とのつながり。弱い自分はもういないと感じる」 彼女はこの自信を、母性へのユニークな旅についてのエッセー集『生命体(Lifeform)』(リトル・ブラウン社刊)につづっている。この本を書き始めたのは、昔の自分を失うのが怖かったからだ。 「私の人生と仕事のキャリア、そこにある私のアイデンティティーを守りたかった。当時は妊娠直後だったので」 でも結局、彼女が探していたのは昔の自分ではなく、新しい自分だったという。「訴えたいことが増えて、でも(自分の価値を)証明する必要はほとんどない。昔とは全然違う。20代、30代のときに感じていた絶望感はない」 そして今、この新しい自分が力を与えてくれる。「スタンダップ(コメディー)をやっているときも本を書いているときも、部屋の中にとても素敵で精神的に安定したママがいる。そのママは私なんだっていう感覚。こんな経験は生まれて初めて」と語るスレートに、本誌H・アラン・スコットが話を聞いた。 ──<この本を書けたことを誇りに思っている? とっても。『生命体』という書名なのは、私が体の中で生命を育てていたからというだけじゃない。名前のない、この不思議な形をしたものが私の人生の形であり、私はその中の生命体なんだという事実を前向きに受け入れているからでもある。 ──エッセー集を書くきっかけは? なぜ(アーティストは)芸術をやりたがるのか。1つには、自分の目に映るものを整理して、広い世界に訴えたいという一生を懸けた思いがある。その思いは、私が人生の安らぎを感じるために必要なことの一部になっている。 ──『生命体』には今のあなたがよく反映されていると。 この本は他の本とは違う。もっと集中している。私自身が人間として、より集中するようになったから。あらゆる分野で、自分のやり方がもっと明確になった。役者として、スタンダップコメディアンとして、物書きとして、全ての行為が明確になった。 ──親になることで、アーティストとしてどう変わった? 妊娠したときは、親になったら別の人間になると思ったけれど、どんな経験をしても自分は自分でしかない。でも、その経験は成長する機会でもある。私は母親になってほっとしている。おかげで私の全てを認められるようになった。これが私なんだ、って。
H・アラン・スコット(ライター、コメディアン)