13年ぶりのVを浦和レッズにもたらした「メンタル力」
もともと“技”と“体”はJ1でもトップクラスだったからこそ、常に国内三大タイトル争いに絡み続けてきた。そうした状況で手にしたタイトル。延長後半の終了間際にあわや失点というこぼれ球をゴールライン上で掻きだした森脇は、「これで殻を破れる」と声を弾ませる。 「ここまで積み上げられてきたレッズのスタイルは、もっと評価されてもおかしくないものだし、その意味で自分たちに足りないのはタイトルだけだと思ってきた。大事なところでことごとく負けてきた過去、俗にいう“勝負弱いレッズ”を払拭したことによって、次のタイトルというものにより近づけると思う」 アルビレックス新潟のホームに乗り込む22日の次節で、早ければセカンドステージ優勝が決まる。すでに進出を決めているチャンピオンシップでも、決勝戦へシードされる年間総合順位の1位へ大きく近づく。ライバルになるのは、年間総合順位で勝ち点1差の2位につける川崎フロンターレ。運命のいたずらか、来月12日の天皇杯4回戦でフロンターレと対戦することが抽選で決まったばかりだ。 今シーズンの対戦成績は1勝1敗。しかし、ファーストステージでは今年から取り組んでいる攻守の素早い切り替えと前線からの激しいプレスでフロンターレを圧倒。スコアこそ1‐0ながら、試合後には相手に「強い」と白旗をあげさせた。 「一冠を取った僕たちは、三冠を取れるチャンスをも得た。現状に満足することなく、次の目標へ向けて突き進んでいきたい」 森脇が「三冠」という言葉をはっきりと口にした。2年前のガンバもヤマザキナビスコカップ制覇で得た自信を勢いに変えて、J1と天皇杯を手にした。強い“心”を武器に壁を乗り越えたレッズが、史上3チーム目の国内三大タイトル独占へつながる上昇気流に乗った。 (文責・藤江直人/スポーツライター)