介護従事者が利用者の『財産搾取』 80代の姉妹は生命保険を解約、自宅を売却…金銭的支配の実態をスクープ「(養子縁組を)させられたんや」
介護従事者が利用者の財産を奪う事件が全国で相次いでいる。大阪では高齢姉妹から約2000万円を横領したとして、姉妹が通っていた介護施設の元代表の男が逮捕された。MBSは、姉妹から相談を受けた男性と容疑者とのやり取りの音声記録を独自入手した。見えてきた事件の実態とは。 【写真を見る】介護職員による「経済的虐待」の被害者数 2017年度~2022年度の推移は
80代女性がエアコンない部屋で熱中症に その裏で起こっていたのは…
【去年7月のやり取り】 (知人)「これからはもうリハビリのところも変えてしまおうな。新しいところにしような。もう西影さんのところお世話なるのやめよう」 (80代女性)「はい」 (知人)「もうこんなクーラーもないのあかん」 ベッドに横たわる女性。女性は80代で、エアコンのない部屋で過ごし熱中症になった。その表情に力はない。この女性、実はある事件の被害者だ。 業務上横領などの疑いで逮捕された、大阪市鶴見区の介護施設運営会社「アッラサルテ」の元代表・西影由貴容疑者(38)。施設に通う80代の姉妹からキャッシュカードを預かり、現金約2000万円を不正に引き出した疑いがもたれている。
高齢姉妹を金銭的に支配か『生命保険を解約』『自宅を売却』
西影容疑者と姉妹との間に何があったのか。取材を進めると、“金銭的支配”というキーワードが浮かび上がってきた。 (西影容疑者)「金遣いが荒いから僕が管理してあげる」 西影容疑者による“金銭的支配”が始まったのは2021年のこと。姉妹に出会ってまもなくのことだった。西影容疑者は通帳やクレジットカードを預かったうえで生命保険を解約。さらに、姉妹の自宅まで売却し自身が暮らすマンションの別の部屋に移り住ませた。ところが姉妹の口座には数百円しか残っておらず、苦しい生活を強いられていたという。こうした姉妹の異変に気づいた人がいる。
(警察に通報した男性)「毎月お金がないねんとか、マンションの下で他の人と話してたら怒られるとか、家があったのにそのお金もどうなっているのかわからないというのを聞いていて」 姉妹から相談を受け警察に通報したという男性。姉妹は西影容疑者から月に数万円しか与えられず、電気やガスが止まることもしばしばで食パン1枚を2人で分け合うこともあったと話す。