長野智子氏が見た 日本の女性活躍が進まない「謎」 男女格差G7で最下位 田原総一朗氏と立ち上げた超党派勉強会で奔走
セクハラ、票ハラ…女性議員を阻む壁
――「クオータ制実現に向けての勉強会」の活動は4年目に入りました。 「田原さんには食事会のあと、国会議員の野田聖子さんと辻元清美さん、矢田稚子さんを紹介されました。みなさんからは、女性活躍に関する議員連盟はたくさんあるから、違う形で話ができる勉強会がいいのではないかというアドバイスをいただきました。議連ではどうしても党を背負って話してしまう部分があり、実は率直に意見交換できる場がないと知って驚いた記憶があります。実際に勉強会を開くと、女性議員をどう増やすか、課題や意見がどんどん出てくる。いまは勉強会をメディアなどにもオープンにして開催していますが、当初はみなさんがあまりに話しすぎるからクローズで開催したほうがいいという話になったほどです」 「2021年に勉強会を立ち上げて、初めの2年間は様々な角度から課題を洗い出しました。まずはハラスメントの問題。選挙活動中にお尻を触られる、握手で握った手を離してもらえない。票を入れるからと交際などを迫る『票ハラ』もあります。女性議員の女性の秘書までセクハラに遭うなど、枚挙にいとまがありませんでした」 「選挙制度の課題が大きいこともわかってきました。小選挙区制度は、長く議員を務めた政治家の方が引退するときには息子、孫、秘書などが出てきて、新しい女性候補者が入っていきにくいという構造的な問題がある。議員になっても、妊娠・出産などで国会に行けないときに、法案に投票できる仕組みがありません。『子どもを育て終わってから政治をやればいい』と言われることもしょっちゅうだといいます」 ――国会議員になりたい女性がいなくなってしまいそうです。 「勉強会で出てきた課題の解決に向けて政策をまとめていくため、2023年からは会の形式を少し変えて、ゲストスピーカーの話を伺って議論するかたちにしました。これまでクオータ制に詳しい上智大の三浦まり教授や、産業界から先進的な企業として大和証券の鈴木茂晴名誉顧問、丸井グループの青井浩社長らを招いて意見交換しています」