現役中学生の「稲垣来泉」が夢中になった「成瀬」を語る! 憧れの『成瀬は天下を取りにいく』著者と初対談が実現
「すごく鮮明に想像できて、ずっとにやにやしながら読んでいました(笑)。」
クルミ:私もそこがすごく好きです。この作品を書く上で意識したことってありますか? 宮島:楽しく明るい話にしよう! ということを決めていました。当時コロナ禍でちょっと暗い世の中だったので、暗いお話ではなく明るいお話にしようと。だから漫才のネタみたいな感じで、クスッと笑えるポイントを意識して入れていました。 クルミ:『成瀬は信じた道をいく』の「コンビーフはうまい」で、成瀬と同時に琵琶湖観光大使になった子と成瀬の掛け合いだったり、記者会見で成瀬の発言に記者たちが困った顔をしているんだろうなっていうシーンだったりは、すごく鮮明に想像できて、ずっとにやにやしながら読んでいました(笑)。 宮島:ああいう感じって取材を受ける側じゃないとわからないですよね。私も取材を受ける側になった時に、相手がちょっと「えっ」みたいな感じになることがあるじゃないですか。どうしよう変なこと言ったかな? みたいな。そういうのを彼女は分かるんだけど、成瀬は分からない。そこの対比は意識して書きました。
書くときには映像を思い浮かべてどこを書けば伝わるかを考える
クルミ:そもそも成瀬というキャラクターはどこで思いついたんですか? 宮島:特にモデルとかがいるわけじゃないんですけど、おもしろい、変わった子にしようと思ったんです。ただ、いくらでも変にはできるんですけど、そうすると共感が得られにくいですよね。なので本当にいそうだなっていうギリギリを攻めました。 クルミ:私はこの作品を読んでいて、全部のシーンでどういう場所にいて、何をしながら話しているかっていうのをすごく鮮明に想像できたのですが、この作品でそのような意識はされていましたか? 宮島:映像が浮かびやすいっていうのは、以前も言われたことがあって、実際私も映像を思い浮かべて書いているので、どこを書けば伝わるかなっていうのを考えるんですけれど、書き込みすぎても想像の余地がなくなってしまうので、それが皆さんに伝わっているっていうのは、やりたいことができているということなので、すごく嬉しいですね。稲垣さんの一番好きなキャラクターは成瀬ですか? クルミ:はい。ええと、成瀬も好きなんですけど、成瀬のお父さんもけっこう好きです(笑)。 宮島:お父さんね。こんなお父さん、本当にいそうだなって思いながら書いてたんですよね。 クルミ:成瀬のお母さんがあまりにも普通に成瀬と話しているから、ちょっと取り残されちゃってる感とか、成瀬がYouTuberの人を連れてきちゃう時も否定できずに結局一緒にお茶飲んじゃったりするのとか、すごくおもしろくて、私の中でとても好きなキャラクターになりました。 宮島:あはははは、うん、うん。それは成瀬のお父さんうれしいと思いますよ(笑)。