「原付よ、ありがとう!ご苦労様でした」2025年に生産終了も『復活』の可能性はある?
2025年のモビリティ一大ニュースとして、「ホンダやスズキが原付の生産を終了」する見通しです。通勤通学や買い物など生活の足として重宝される原付ですが、来年以降は消滅してしまうのでしょうか? 生産終了の背景や、今後も原付に乗り続ける方法、復活の可能性について迫ります。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一) 【画像を見る】女性も乗りやすいホンダ「スーパーカブ」など ● 原付がなくなる? ホンダやスズキが生産終了の背景 「原付」――、正確に書くと「原動機付自転車」は一種と二種があります。エンジン車の場合、一種は50cc以下、二種は50cc超125cc以下の排気量を持つものです。電気自動車(EV)の場合は、定格電力が0.6kW以下が一種、0.6kW超1.0kW以下が二種です。このうち2025年にホンダとスズキが生産を終了する見込みなのはエンジン車の一種、つまり排気量50cc以下の最もポピュラーな原付です。 そもそも原動機付自転車は、どうして誕生したのでしょうか? 今でこそ、原付はバイクやスクーターの形をしていますが、実は最初の原付は、まさに「原動機が付いた自転車」でした。 第二次世界大戦が終戦した直後、1946年にホンダが作った「ホンダA型」は、旧陸軍が放出した無線機の電源用エンジンを自転車に取り付けた乗り物でした。その手軽さ、便利さを現代で例えるなら、電動アシスト自転車のような存在です。そうして原付は普及し、通勤通学や買い物など生活の足として重宝されるようになります。 世界で最も有名な原付は、ホンダの「スーパーカブ」でしょう。ホンダは元々、自転車に取り付けるエンジンを「カブ」の名前で販売していました。1958年にはプレス鋼板フレームを使った50ccの二輪車を開発し、スーパーカブが誕生します。2017年にスーパーカブは販売台数が累計1億台を突破し、名実共に世界トップクラスの二輪車となりました。
● 原付を乗り続けたい人に 重要な「運転免許」の話 次に、運転免許の話をしましょう。制度の話なので「つまらないな…」と思う人もいるかもしれませんが、後述する「新基準原付」に関係する話なので、頭に入れておいてください。「今、持っている原付はもう乗れなくなってしまうの?」「ちょうど買い替えを検討していたんだけど…」という人にも重要な話です。 原付を一種と二種に分けているのは道路運送車両法ですが、その一方で、道路交通法では原付一種や原付二種という区分けはありません。道路交通法では排気量50cc以下が原付、50ccを超えて400ccまでが普通自動二輪、400ccを超えるものが大型自動二輪と定義されています。大型自動二輪免許は排気量に関係なく二輪の運転が可能で、普通自動二輪免許は400cc以下の二輪車の運転が可能です(小型限定の場合は125cc以下)。 原付免許は50cc以下の二輪しか運転できません(50cc以下の三輪車は運転可能。多くの三輪車は普通免許が必要ですがサイドカーなど例外もあります)。二輪免許は実技試験がありますが、原付免許は実技試験がなく、学科試験合格後に「原付講習」といって、基本操作や基本走行、安全運転の知識についての講習を受ければ免許が交付されます。 なお、普通免許取得者は原付免許を新たに取得しなくても、普通免許で原付を運転できます。普通免許取得者は原付講習の義務がありませんが、教習所に通っている場合は原付講習が組み込まれることが多くなっています。