AT車 or CVT車 結局どちらがメリットあるのか?
CVTの定義
読者の皆さんは「CVT」をご存じだろうか。「Continuously Variable Transmissoin」の略で、日本語では「無段変速機」とか「連続可変トランスミッション」と呼ばれる。1987(昭和62)年にデビューしたスバル・ジャスティが世界で初めて搭載して以来、近年急速に普及が進んでいる。 【画像】「えっ…!」 これがCVTの「原理」です(計9枚) CVTには ・ベルト式 ・チェーン式 ・トロイダル式 などがあり、現在は金属ベルト式が主流である。無段変速機の名のとおり、歯車(ギア)がなく、ふたつの滑車(プーリー)の幅を変えることでベルトやチェーンを介して動力を伝達する。 変速を無段階で変えられるため振動がなく、スムーズな加速が可能だ。さらに、走行状況に応じてエンジン出力を最適に制御できるため、駆動ロスが少なく燃費も向上する。このため、CVTは低燃費の乗用車に多く採用されている。 環境問題がクローズアップされるなか、燃費がよければAT車もすべてCVT化すればいいのだが、現実はそうなっていない。その理由はどこにあるのだろうか。
ATの違いとメリット・デメリット
CVTとAT(Automatic Transmission)は、動力伝達方法が全く違う。伝達方法は ・CVT:金属ベルトやチェーンで動力を伝達し、プーリーの幅を変えて変速する。 ・AT:ギアを介して動力を伝達し、ギアの組み合わせを変えて変速する。 である。CVTは、ギヤ比を連続的に設定できるため、常に最適なギヤ比を選ぶことができ、走行中の回転数を低く抑えられる。また、小排気量エンジンの限られたパワーを最大限に生かしながら、燃費を抑え、比較的低コストである。 その反面、日本の地形や交通事情に適しているが、ATに比べて壊れやすく、消耗すると不快な音がする。また、低燃費を売りにしているが、ハイパワーエンジンには対応しておらず、高速走行時には燃費が悪化するというデメリットもある。 一方、ATはハイパワーエンジンに対応し、耐久性や強度にも優れているため、高級車に採用されることが多く、世界的に人気がある。デメリットは、 ・CVTほどの燃費性能は期待できない ・機構が複雑でコストが高い である。 どちらにも一長一短があるが、車種ごとにどちらのシステムを搭載するかは、それぞれの特性を理解した上で判断することになる。クルマはそれぞれ車格も用途も違うので、CVTかATのどちらか一方だけを選んでいたのでは、それぞれの長所を生かしきれない。だからこそ、ふたつのタイプが存在し続けているのだ。