「梅毒が10年前の23倍」の意外な原因とは?「性感染症は夫婦不仲の病気」という言葉がとんでもなく深いワケ
2023 年の国内の梅毒感染報告数は、10 年前の2013 年と⽐較すると、男性約10 倍、⼥性は約23 倍。中でも20 代の⼥性での増加が顕著です。 「性感染症のうち梅毒は、男性は50代まで結構感染するいっぽう、女性は20代がピークで30代まで続き、そこから急に減ります。ですが、コロナ禍を経てこのバランスにも変化が見られます」、そう語るのは愛知医科大学 臨床感染症学講座・教授の三鴨廣繁先生。 いっぽうで、『【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2024』によれば、40代女性の27.3%、50代女性の18.0%が「現在不倫をしている」と回答しています。従って、性感染症は全くの対岸の火事というわけではなく、ふとしたきっかけで私たちもリスクを負う可能性がある事象と言えるでしょう。三鴨先生に詳しく伺いました。
名前はよく聞くけれど、どんな病気なのかはほぼ知らない…梅毒とは何なのか?
性感染症とは性行為を経由して感染する病気を指します。4大性感染症のうち、女性の場合、統計上の罹患数で圧倒的な1位はクラミジア。離されて2位ヘルペス、3位コンジローマ、4位淋病と続きます。が、三鴨先生の外来での実情イメージは、1位クラミジア、最近ではコンジローマが増え、もう一つが圧倒的に梅毒なのだそうです。 「いずれの性感染症も同じように、粘膜の接触で感染が成立します。男性に比べて女性のほうが身体の内部に菌が入るため洗い流しにくく、粘膜の摩擦も高いため感染しやすい傾向があります。中でも梅毒は自然に軽快する時期もあって病気の進行が特殊なため、治療が遅れてしまうことが多く、その間に感染を広げてしまうのが問題です」 性感染症は直接は命をとらないものの、やっかいごとを多々巻き起こします。例えばクラミジアは不妊症を引き起こします。梅毒は進行すれば神経梅毒と呼ばれる視覚聴覚の障害、麻痺などを深刻な症状を引き起こし、また母体が感染している場合に胎内の子どもは先天性梅毒を発症することもあります。