2020年もう一つの東京五輪、忘れてはいけない「文化プログラム」の重要性
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、同じタイミングで全国各地で開催される文化プログラムの重要性について、鳥取など13都府県の知事や副知事が30日、都内で連盟を結成しアピールした。この日行われたのは、障がい者の芸術文化活動を推進する知事連盟の設立総会で、遠藤利明・五輪担当相も来賓として参加した。
近代オリンピックはスポーツの祭典であると同時に文化の祭典
知事連盟は、各種の文化行政に熱心に取り組んでいる鳥取県の平井伸治知事が中心となって呼びかけたもので、正式名称は「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障がい者の芸術文化活動推進知事連盟」。鳥取のほか、東京、長野、三重、滋賀、岡山、宮崎の各県から知事や副知事が出席した。 文化プログラムは、あまり一般に知られていない印象もあるが、オリンピック・パラリンピックの開催にあわせて毎回開催されている。そもそも近代オリンピックはスポーツの祭典であると同時に文化の祭典でもあり、オリンピック憲章でも、スポーツと文化と教育の融合がうたわれている。オリンピック組織委員会は、開催期間中に複数の文化プログラムを計画しないといけないと規定しており、プログラムは国際オリンピック委員会(IOC)理事会に提出して承認を得なければならないことになっている。
文化プログラムの歴史とは
オリンピックと文化プログラムの歴史をふりかえると、1912年のストックホルム大会から1948年のロンドン大会までは「『芸術競技』の時代」と位置づけられ、建築、絵画、音楽など5種目が正式種目として導入され、スポーツを題材にした作品のコンペが行われ、メダルも授与された。 その後1952年のヘルシンキ大会から1988年のソウル大会までは「『芸術展示』の時代」と位置づけられ、競技ではなく展示がおこなわれた。前回の1964年の東京大会では東京国立博物館で開催された「日本古美術展」が成功を収めた経緯もある。 そして1992年のバルセロナ大会以降は、現在のような文化プログラムの時代に入る。記憶に新しいところでは、2012年のロンドン大会時に、全英で大規模な文化プログラムが展開され、ロンドンのみならず英国各地で観光や地域振興などに結びつく結果となった。国際的な芸術祭もオリンピック・パラリンピックの開催と同時並行で行われ、各国のアーティストが参加した。