河野裕さん(徳島市出身)新作小説「彗星を追うヴァンパイア」が山田風太郎賞の候補に 20年に続き2度目 21日選考会
徳島市出身の小説家河野裕(こうの・ゆたか)さん(40)=兵庫県明石市在住=の新作「彗星を追うヴァンパイア」(KADOKAWA)が、過去1年間に最も面白いと評価されたエンターテインメント小説に贈られる「第15回山田風太郎賞」(同社主催)の候補作に選ばれた。河野さんは2020年にも「昨日星を探した言い訳」で同賞の候補となっている。21日に都内で選考会が行われ、同日発表される。 空想歴史小説で新境地 徳島市出身の河野裕さんが新作「彗星を追うヴァンパイア」 「彗星を追う―」は、17世紀のイングランドを舞台に、数学者と怪物の友情を描いた「空想歴史小説」。実在の人物であるアイザック・ニュートンを登場させており、関連資料を読み込んだ上で、1年ほどで書き上げた。8月29日に刊行され、河野さんにとって4冊目の単行本となった。 河野さんは徳島市立高を経て、大阪芸術大文芸学科を卒業。ライトノベル「サクラダリセット」がヒットし、映画やテレビアニメになっている。 他の候補作は逢坂冬馬さんの「歌われなかった海賊へ」(早川書房)、蝉谷めぐ実さんの「万両役者の扇」(新潮社)、長浦京さんの「1947」(光文社)、早見和真さんの「アルプス席の母」(小学館)の4点。 山田風太郎賞は、戦後日本を代表する大衆小説作家である同氏を顕彰し、有望な作家を発掘するため09年に創設された。毎年9月~翌年8月に刊行されたエンタメ小説が対象となる。過去の受賞作家では、米澤穂信さんや今村翔吾さんらが直木賞に選ばれている。徳島県関係では河野さんのほか、三好市出身の中脇初枝さんの「伝言」(講談社)が昨年、第14回山田風太郎賞の候補となった。