ヴァレンティノの新発想「ずらしコーデ」 異なるテイストミックス、上質素材が決め手に
■試す価値あり マリン×プレッピーの若返りマジック
ミニスカートやフリルブラウスなどのティーンズ感を帯びたウエアは1点差し込むだけで、ルック全体を若返らせるパワーがあります。手持ちワードローブから別の表情を引き出す効果も期待できるから、試す価値ありです。 甘さが漂うアイテムに、メンズ風味のアイテムで落ち着きを加えれば、程よいずらし加減に軟着陸させられます。 大きな白襟が目を引くジャケットは白とネイビーのマリン配色がさわやか。ミニスカートに白ソックスを添えて、ガーリー気分を高めています。 シャツとジャケットが醸し出すプレッピー感がカレッジムードに導いています。スタッズ(鋲、読みは「びょう」)をあしらった革靴でスパイスを添えました。渋めのニットトップスも穏やかなバランスづくりに一役買っています。 ◇ ◇ ◇
■60年超の歴史あるイタリアの代表格 職人技に強み
「ヴァレンティノ」は1960年、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏とジャンカルロ・ジャンメッティ氏が創業した、イタリアを代表するラグジュアリーブランドです。オートクチュールはレッドカーペットで選ばれることが多く、パリコレクション(パリコレ)で発表されるプレタポルテは毎回、関心の的です。 2024年プレフォール・コレクションではロマンチックな雰囲気や職人技の手仕事が一段と際立ちました。次の2025年春夏コレクションからは、「GUCCI(グッチ)」でブームを起こしたアレッサンドロ・ミケーレ氏がクリエイティブ ディレクターを務めることになり、モード界の大きな話題になっています。 大人のずらしコーデに欠かせないのは、「ずらす」という戦略への割り切りです。コツは上下で素材を変え、異なるムードをミックスする際に大胆さを意識するところ。きらめきディテールやシアー素材、ガーリー風味などを、定番的なアイテムに合わせるとうまく仕上がります。決め手は上質素材やクラフトマンシップを生かす点です。 「混ぜるな危険」ではなく、「混ぜるが勝ち(価値)」と覚えて、自分好みにずらしていけば、こなれ感もアップします。 文・宮田理江(ファッションジャーナリスト)
宮田理江
トレンド情報や着こなし解説、コレクションリポート、スタイリング指南をメディアや個人サイトで幅広く発信。異なるテイストのミックスコーディネートが得意。自らのテレビ通販ブランドを持つ。ディレクション業務、イベント登壇もこなす。毎日ファッション大賞選考委員。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。