雨が降ろうが「強い馬は強い」ディープインパクト〝ベストレース〟のひとつ/2006年・宝塚記念
【記者が振り返る懐かしのベストレース】昨年の宝塚記念でディープインパクトは4馬身差の圧勝を飾った。ディープの勝利、いや圧勝すらも特に珍しいシーンではないが“勝って当然”の馬にとって、最も怖い難敵を退けたこの年の宝塚記念は、ディープの「ベストレース」の一つに確実にカウントされる。 【表】2着には人気薄が食い込んだ!06年宝塚記念結果 ディープの出現前、シンボリクリスエス→ゼンノロブロイと連なる現役最強馬を管理していた藤沢和調教師にはある口癖があった。 「君(記者)たちは“雨による馬場悪化はどうか?”ってよく聞いてくるけど…。ファンに絶対的に信頼されている馬が、雨が降ったから負けましたなんて軽々しく言えないし、言ってはいけない」 レース当日、明け方の小雨は昼前に本格的な雨に変わった。最終的に馬場発表は「稍重」だったものの、うっすらとモヤがかかり、視界に影響を及ぼす中でゲートは開いた。能力を反映しづらくさせる雨馬場は断然人気馬の購買意欲を著しく低下させる。予想上はごく平凡にディープを本命にしながらも…。 「この雨ならバランスオブゲームの粘り込み狙いで遊ぶのも悪くないか」と、つい欲を出した。結局、楽しめたのは直線入り口まで。普段と何ひとつ変わらないディープの外マクリが、我が色気馬券を見事に粉砕した。しかし、悔しい感情は全くわいてこなかった。 「強い馬はいかなる状況になろうと強い」 この実感を与えてくれるシーンこそが、やはり競馬の醍醐味である。(2007年6月20日付東京スポーツ掲載)
東スポ競馬編集部