田舎で「年金暮らし」の親を扶養に入れて税金を「安く」できるって本当ですか?
離れて住む親を扶養に入れ、税金や社会保険料を安くできることをご存じでしょうか。人によっては、想定以上に税金が安くなることもあるでしょう。 そこで今回は「田舎で年金暮らしの親を扶養に入れて税金を安くする方法」について考えてみます。
税法上の扶養について
まず、税法上の扶養について考えていきます。所得税や住民税は、収入から各種控除を差し引いて算出される課税所得金額に税率をかけて算出されます。親を扶養に入れた場合は所得控除が増えるため、最終的に算出される所得税と住民税が安くなります。 所得税については、離れて住む親の年齢が12月31日現在で70歳以上であれば老人扶養親族(同居老親等以外の者)として48万円、70歳未満であれば生活費などの支払いを38万円以上受けている場合に限り、一般の控除対象扶養親族として38万円の控除が受けられます。住民税については、老人扶養親族なら38万円、一般扶養親族では33万円の控除が受けられます。 ただし、上記の控除を受けるためにはいくつかの要件があります。そのうち特に重要なものは、「収入要件」と「納税者と生計が同一であること」という2点です。収入要件について、親に年金以外の収入がないと仮定すると、親の年齢が65歳未満であれば108万円以下、65歳以上であれば158万円以下であることが条件です。 一方、生計が同一であることについて、これは必ずしも同居している必要はありません。療養など何らかの都合で別居していても、生活費や療育費などの送金が行われていれば、生計が同一であると認められます。
社会保険上の扶養について
親が75歳未満であり、その収入が180万円未満(60歳以上の場合)かつ同居をしている場合は被保険者の収入の2分の1未満であれば、親を健康保険の扶養に入れることができます。 これによって、親の健康保険料の支払いが免除されます。参考までに、親が65歳以上かつ年収160万円の場合は、2万8240円もの国民健康保険料を削減することができます(札幌市の場合)。 ※出典:札幌市「令和5年度国民健康保険料の目安 65歳以上の公的年金収入の場合」 なお、子の加入する健康保険が国民健康保険の場合や、親が75歳以上となり後期高齢者医療制度へ移行した場合は、親を扶養に入れることはできません。